現代人の脳には“毒”が溜まっている!
無意識に溜まった脳の“毒”を出して
脳がみるみる若返る食事法を紹介する

脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師が提案する衝撃の最新刊『脳の毒を出す食事』では、現代人の脳に溜まった毒を出し、脳の機能を上げる食事法を紹介している。
現在、認知症患者数は増加の一途。その発症を避けるには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な食事を提案する。

グルテンPhoto: Adobe Stock

ほとんどの人にとって有害という指摘も多い

グルテンに敏感な人はアメリカでは人口の5%、日本ではもっと少ないとされます。

けれども多くの研究者がほとんどの人にとってグルテンは有害であると指摘しています。パンやうどん、そうめん、ケーキ、どら焼きやまんじゅうを食べると下痢や便秘をする、なんとなく調子が悪い、集中力が落ちると感じている人はグルテンに敏感な体質かもしれません。抗体検査やアレルギー検査を受けて確かめる方法もありますが、2週間程度、徹底的に小麦粉、大麦、ライ麦を抜いてみて、だるさや不調が出るかどうかを確認してはいかがでしょう。小麦粉をやめると体調がいいならグルテン過敏体質の可能性があります。

私のクリニックでは初診の患者さんに抗体検査を受けていただくのですが、その結果を見ると、半数以上の人がグルテンに対する抗体を持っています。抗体とは、体が「これは毒!」とみなしたものから体を守るために作られるものです。グルテンの抗体を持っているということは、その人にとってグルテンは毒ということなのです。クリニックにいらっしゃる患者さんは認知機能に不安がある方たちですから、毒と知らずに小麦粉を食べ続けた結果、認知機能が低下しつつあるということかもしれません。

アメリカでベストセラーになり、私が翻訳を手掛けた『小麦は食べるな!』(日本文芸社)という本があります。その中でも現代の小麦は収穫量を増やすために品種改良や遺伝子移入を重ねたもので、この1世紀で収穫量が10倍になったとされています。しかも、現代の小麦は放っておくと実をつけることができず、化学肥料を与え、殺虫剤で守られているのです。日本で消費されている小麦粉の多くは輸入小麦ですから、皆さんも無意識のうちに現代の小麦を大量に食べているかもしれません。

私はこのことを知った10年以上前から、白いパンを食べていません。現代小麦の危険性を知る前は普通に食べていて、いまでもふと白いパンを食べたいなと思うことはありますが、知識が邪魔をして食べられません。

パンやパスタがおいしいのには訳がある

さらに悪いことにグルテンには依存性があります。グルテンが胃で分解されると、麻薬のような働きを持つ物質に変化します。それが脳内に侵入すると、「めっちゃおいしい!」と脳を高揚させます。このとき、脳を喜ばせているのは暴走したドーパミンです。ドーパミンはやる気を出す脳内物質として知られていますが、暴走すると神経を攻撃する毒となり、神経細胞を殺してしまうのです。

本原稿は、白澤卓二著『脳の毒を出す食事』からの抜粋です。この本では、認知症など脳の機能不全の原因となる、現代人の脳に溜まった”毒”を出して究極の健康体になる食事法の提案と、実生活で使える7日間実践レシピを掲載しています。脳と体を健康にし、本当の意味での健康長寿を目指してみませんか?(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤卓二先生
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。
もしかして?と思ったら!<br />遅延型小麦アレルギーを<br />自分で調べる方法とは?

白澤卓二(しらさわ・たくじ)
医師、医学博士
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長、2020年より千葉大学予防医学講座客員教授就任。日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、アンチエイジングサイエンスCEOも務める。
専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。