周知の通り、新型コロナウイルス感染症の「震源地」は中国とされている。このため、感染が世界に拡大した当初、各国・地域で媒介者と想定されたアジア(東洋)人が相次いで暴言や暴力を受ける事態が頻発した。中東地域に在住する筆者もしばしば「コロナ差別」を受け、つらい経験をした。今でもトラウマになっているほどだ。コロナ差別のピークが過ぎつつある今だからこそ言える、当時の差別の状況を紹介してみたい。(イスラエル国立ヘブライ大学大学院・総合商社休職中社員 徳永勇樹)
実際に筆者が受けた
さまざまな「コロナ差別」
海外で暮らしていると「普段、コロナ禍で差別を受けたことはありますか?」という質問をよく受ける。その度に「『差別』という言葉の定義にもよりますが、『コロナ』と呼ばれたり、からかわれることは、よくあります」と答えているのが実情だ。
特に、筆者が暮らす中東地域は、アジア(東洋)人はマイノリティーの存在で、かつその容貌は非常に目立ってしまう。通りすがりの知らない人に「コロナ」とボソッと言われたり、露骨に手で口と鼻を覆って逃げられるような行為は、いまだに頻繁にある。
正直、こればかりはいまだに慣れない。体験を語るのはとてもつらいことだが、その事実を広く知っていただくためにも、筆者自身が受けてきた経験をご紹介したいと思う。