「お金持ちになるにはどうしたらいいのか」という疑問にこの連載ではいろんな角度から答えを示していきます。お金持ちなら誰でも知っている秘密を明かしていきます。
その疑問の答えにたどり着くには「お金」「経済」「投資」「複利」、そして「価値」について知っておく必要があります。少し難しい話も出てきますが、今は完全にわからなくても大丈夫です。
資本主義の仕組みについても、詳しく解説していきます。なぜなら、資本主義の世界では、資本主義をよく知っている人が勝つに決まっているからです。
今後の答えのない時代において、どのように考えながら生きていけばいいのか、ということもお話ししていきたいと思います。さあ、始めましょう!
(もっと詳しく知りたい人は、3月9日発売の『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)を読んでください)

配当
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高配当企業には近づくな!

よく「高配当銘柄が魅力的」などという話をする自称専門家もいますが、この手の話をする人は、本当の意味で投資のことを知らなすぎます。こういうことをもっともらしく語る人の言うことは、信用しないようにしましょう。

預金の金利がほぼなくなって以降、高配当利回り銘柄への投資がさかんに勧められました。でも、本当にいい企業の中には、配当をいっさい出さないところがたくさんあるのです。

特に著しい成長局面にある企業は、株主に対していっさい配当を支払わず、稼いだ利益の全額を設備投資や研究開発投資、人的投資に振り向けることによって、さらなる成長を目指します。自社に投資することによって、複利効果を活用して、さらに自社を大きく成長させていくのです。

優秀な経営者は複利効果の凄さを理解しています。自社が競争優位性を持っており、成長機会がある場合は、配当などをしている場合ではありません。どんどん自社の企業価値増大のための成長投資を行うべきなのです。

逆の見方をすれば、高配当企業の経営者は、自社の成長機会を見限っているとも言えます。自社を成長させるのに必要な投資案件が見つからない、競争優位性が十分ではない、あるいは何に投資すれば良いのかがわからない。けれども株主には見放されたくない。株主をつなぎ止めたいので、高めの配当を行うのです。

東証1部上場企業の配当利回りは、2020年11月時点の平均で2.23%です。この数字に比べてはるかに高い配当利回りを出している企業については、本当にそのビジネスが成長しているのか、競争優位性を保っているのかを調べてみた方が良いでしょう。高い配当につられて、もっと大事なものを失うことになるからです。

配当とよく似たものに「株主優待」というものもあります。株主にその企業の商品や、サービスを受けられるチケットを提供するものです。これ、はっきり言って意味がわかりません。こんなことをしているのは日本企業だけです。「株主優待」の原資は企業の利益に他なりませんから、タコが自分の足を食っているようなものです。

そんなお金があるのだったら自社の事業に投資した方が良いに決まっています。株主優待につられてその会社の株を買ったりしてはいけません。

株主が配当を求めることは、投資先企業の成長の先食いでしかありません。複利というエンジンを止めているのと同じです。そもそも投資先企業の「稼ぐ力」を信じられないなら、最初から投資などしなければよいのです。

参考記事
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奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『教養としての投資『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)など。