「お金持ちになるにはどうしたらいいのか」という疑問にこの連載ではいろんな角度から答えを示していきます。お金持ちなら誰でも知っている秘密を明かしていきます。
その疑問の答えにたどり着くには「お金」「経済」「投資」「複利」、そして「価値」について知っておく必要があります。少し難しい話も出てきますが、今は完全にわからなくても大丈夫です。
資本主義の仕組みについても、詳しく解説していきます。なぜなら、資本主義の世界では、資本主義をよく知っている人が勝つに決まっているからです。
今後の答えのない時代において、どのように考えながら生きていけばいいのか、ということもお話ししていきたいと思います。さあ、始めましょう!
(もっと詳しく知りたい人は、3月9日発売の『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)を読んでください)

株式投資 勉強
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「投資」と「投機」は違う

株式には日々価格(株価)が付いています。では、株価はどうやって決まるか知っていますか? はじめに押さえておいてもらいたいのは、株式にも「価値」と「価格」があり、その2つは必ずしも一致しないということです。

まずは株価の話です。株式市場という場所には、株式を取引したい人たちが毎日集まってきます。ある株式を買いたいと思う人が多ければ株価は上がり、逆に売りたいと思う人が多ければ株価は下がります。需要と供給ですね。

また、たとえば「これからどうも景気が悪くなりそうだぞ」というニュースが出ると、市場参加者がみな弱気になり株を売るので、全ての企業の株価が一斉に下がったりします。要は、日々の株価というのは株式市場に参加している人たちの「気持ち」で決まっているんですね。とても不安定なのです。

次に「価値」の話をします。株式とはその企業が稼ぐ「利益」を出資割合に応じて得る権利です。これが理論上計算される株式の「価値」です。つまり、企業が将来に渡って稼ぐ利益が増えていけば理論価値は上がり、稼ぐ力が弱まって利益が減れば理論価値は下がるということです。

株価は時に気まぐれな市場参加者の気持ちで動くので、中短期的な株価は必ずしも理論値である理論価値とは一致しません。たとえばアメリカの大統領選挙の結果によって、全く業績に影響を受けない日本のスーパーの株価が下がるというようなことがわりと頻繁に起こります。

ただ、長期的には株価は必ず理論価値を反映します。実際に企業の通信簿である決算書が出て、利益の額が明らかになれば、「大統領選挙なんて全然関係なかったんだな」ということにみんな気づくわけです。

そして、本当に強い企業は「複利」の力を使いながら、時間とともに指数関数的にこの理論価値を増大させることができます。

私は投資のプロとして、その株式の理論価値がいくらなのか、つまりその企業がどれくらい稼ぐ力を持っているのかを日夜分析しています。長期的にその企業の利益が成長し続けるかどうかは、冷静に判断すれば見極めることができます。

一方で、中短期的な市場参加者の気持ちを予測することは難しい、というより不可能です。「予測」している本人はもう少し高尚なことをしているつもりでも、コインを投げて表か裏かを言っているレベルでしかありません。私に言わせればただのギャンブルです。それは投資ではなく投機です。

私はギャンブルが悪いなどと言うつもりは毛頭ありません。大事なことは、ギャンブルをしている時は「あぁ、自分はギャンブルを楽しんでいるんだ」という自覚を持つことです。ギャンブルは脳内物質であるアドレナリン、ドーパミンがドバァっと出ます。極度なドキドキワクワクを買っているという観点では完全な「消費」なのです。

ですから皆さんが、デイトレード(日々の株式の値動きを見て買ったり売ったりして儲けようとすること)を行う時は、自分の貴重な時間とお金を「消費」しているのだという自覚を持って、「楽しんで」くださいね。

株式投資のメリットは
お金だけではない!

株式投資のメリットとは何でしょうか? 一つはもちろん金銭的なメリットです。自分が寝ている間も投資先のビジネスモデルが働いてくれます。もし自分がけがをして会社に行けなくなっても働いてくれます。リストラされても働いてくれます。いわば別の財布を持つことになるのです。これは自分が働くということが抱えているリスクを減らしてくれます。

もう一つは、自分自身の才能という人生を耕す道具、クワとの相乗効果です。株式投資をする場合には、経済動向や事業の経済性について、考えることが必要になります。これは社会人になり、ビジネスパーソンとして働き始めてから必要になる能力と同じです。このような思考回路がないビジネスパーソンは勤めている企業からリストラされてしまいます。

もちろん仮説を立てて投資するということは簡単ではありません。最初からうまくいくとは思えません。ただ失敗を通じて、何度もバットを振っていると、少しずつかするようになります。それは実際のビジネスも同じことなのです。

だからこそ、自分で株式投資をしてオーナーになるという行動は、ビジネスパーソンとして働くこととの美しい相乗効果が見込めるのです。

参考記事
ハイパーインフレにならないとは言い切れない日本のリスク
変えることができるのは、「自分」と「未来」だけ

奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『教養としての投資『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)など。