昨年は4月以降、一度も1%を上回らなかった米国10年債利回りは年明け早々に1%を上回った。そこからの上昇ペースは相当に速いものとなり、ついに1.6%を上抜けてしまった。
FRB(米連邦準備制度理事会)が完全雇用と物価目標の達成を利上げの条件とする中、少なくとも2年以内の利上げは市場で想定されていない。金利上昇は財政拡張や漠然としたインフレ期待を背景とした、より長めの国債の利回りにのみ確認されていた。
そのような中、足元で米国10年債利回りの上昇ペースが加速しているのは、5年債利回りが大きく上昇したためであると推察される。実際、この2カ月間に限ってみれば、5年債と10年債の利回り上昇幅はほぼ同じである。
5年債は年限としては2年債に近い中期債であり、財政拡張のような材料に比べて利上げ期待の影響を受けやすい。2年債利回りがこの4カ月間ほぼ変わっていないことを考えれば、利上げ期待に大きな変化が生じたともいい難い。