米金利につられた日欧金利上昇は
どんな影響をもたらすか
年初来の金融市場では金利、とりわけ米金利の上昇が耳目を集めているが、これに連れて日欧の金利も浮揚し始めている。
もともと超が付くほどの低金利ゆえに、日欧金利の上昇が株や為替の価格形成に大きく影響する様子はないが、金融システムへの不安が慢性的に漂い、与信環境の不調が指摘されるユーロ圏では、「意図せぬ引き締め効果」という視点から、金利上昇は問題視されるだろう。
昨年9月以降の10年金利の動きを見ると、米国が本格的な上昇基調に入る一方、ユーロ圏では旺盛な資産購入の効果もあって、低下基調にあった。今年入ってからも米国金利の上昇が加速する傍らで、ユーロ圏金利は横ばいを続けてきたが、米10年金利が1.30%以上で定着し始めたあたりから、これに呼応する動きが見られ始めている(図表1参照)。
FRBは足もとの金利上昇を「景気回復に対する期待の表れ」と容認の構えを見せているが、政策理事会のたびに与信環境の悪化が話題に上がっているECBでは、そうはいかないだろう。ワクチン接種に伴って感染者数が目に見えて抑制され始め、年内の景気回復が既定路線になってきているにもかかわらず、銀行貸出態度調査などに表れる与信環境の悪化は著しいものがある(図表2参照)。金利上昇に対し、ECBがFRBと同じように達観するのは難しいはずである。