この問題は一見、上司であるあなたと特定の部下との間のこと、つまり個人と個人の問題のように思えます。しかしそれはあまりに表面的な見方であり、この問題が発する影響力はチーム全体に及ぶと私は考えています。少し掘り下げていきましょう。

 まず、「裏でコソコソ」部下は、チーム内でアンチ上司の派閥をつくろうとします。一方で、そうした動きを迷惑に感じるメンバーも存在するはずです。「裏でコソコソ」部下が発する話題は基本的にネガティブですから、チーム全体の士気を大きく下げ、ひいてはチームの生産性を下げてしまうのです。

 さらに放置して、ネガティブオーラをまき散らす元凶(「裏でコソコソ」部下)のパワーが増せば、チームでの仕事から楽しみや活気が奪われていきます。

 このような状況への不平不満はすべて、上司であるあなたに向かいます。「職場の雰囲気を悪くする人を放置している、うちの上司って何?」と、何も手を打たないあなたへの不信感が高まる危険性があるのです。

その部下はチームにとって
本当に必要かを考える

 この「裏でコソコソ」部下に遭遇したとき、私が上司にすすめていることがあります。

 中長期のビジョンとして、「自分は上司として、どんなチームをつくりたいのか」を今一度考えることです。そのビジョンに照らして、「この部下のこの行動は、チームの目標達成に本当に必要なのか?」を自問自答します。

 例えば、あなたがプロスポーツチームの監督だったとします。たくさんの所属選手の中から、試合に起用する選手を絞らなくてはなりません。そんな状況下で、あなたが選手を選ぶ基準は何でしょうか。

 あなたのチームにスター選手が何人もいて、その中から数名を選抜すればよいのであれば話は簡単かもしれません。しかし、チームにはそれぞれ「台所事情」があるものです。

 即戦力の選手だけに偏るのではなく、数年先のチームを背負ってくれる将来性を感じさせる人材を育てていくのも、上司であるあなたの大切な役割です。

 チームの構成員たるメンバーたちを育てていくのは、チームに課せられた目標を達成するための「手段」に位置づけられます。

 したがって、あなたがもし「裏でコソコソ」部下を「チームの目標達成のために必要だ」と判断したなら、その部下との関係修復を試みて、「育てる」方向にシフトすべきです。関係修復のために必要なのは、話し合いの場を設け、歩み寄りを図っていくことです。