嫌われない1on1部下に嫌われない1on1のコツとは? Photo:PIXTA

長引くコロナ禍において、多くの会社でリモートワークが定着しつつあります。しかし、オンラインを基本としたコミュニケーションで部下の心理状態まで細かく読み取るのは難しく、管理職が気づかないうちに部下のモチベーションの低下が進み、離職などの問題にもつながりかねません。

そんな中、部下のモチベーション向上につなげようと、上司と部下が定期的に面談する「1on1」に改めて注目が集まっています。しかし一方で、部下の側からは「逃げ場のない説教の時間」「上司が評価を決める面談にすぎない」など、ネガティブな声も少なくありません。

では、どうすれば1on1を行っても「煙たい上司」と思われることなく、最大限の効果をあげることができるのでしょうか。ビジネススクールを運営するグロービスの講師であり、動画学習サービス『GLOBIS 学び放題』の事業リーダーを務める鳥潟幸志氏が、自身の経験も踏まえて解説します。

1on1は「部下のための時間」であると心得よ

 上司と部下が定期的に面談の機会を持つ「1on1」という手法は、数年前から導入する企業が増えてきていました。ヤフーをはじめ、1on1を用いて社員のモチベーション向上に繋げた事例は数多くあり、今では日本の企業の約4割が1on1を導入しています(日本の人事部『人事白書調査レポート2020』より)。

 読者の方の中には、1on1の導入を検討している方もいれば、1on1を導入したもののなかなかうまくいかないと悩んでいる方もいるでしょう。そこでまずは、そもそも1on1を行う目的は何なのかを整理したいと思います。1on1の目的は、大きく3つ挙げられます。

 まず「部下の成果創出を支援する」という目的です。仕事を進めていく上で生じるさまざまな課題のうち、7割から8割は部下自身が解決できる問題です。解決の方向性や方法について、対話を通じて自分自身で整理して気づいてもらえるように促します。残りの2~3割は、リソースが足りないなど、部下自身では解決できない問題です。これを上司が早い段階でキャッチアップして行動することで、効率よく業務を進めることができます。