コロナで突然変わってしまった世界は、幼い子をもつ親にとっていっそう大変な状況をうみだしました。かつてなく長い時間、親子が家庭の中に閉じ込められる事態となったのです。しかし逆に難しい時期だからこそ、しっかり子どもを学ばせたい、心豊かに遊ばせたい、家族の絆を強めたいと前向きに考える親が多いことも明らかになりました。自身がモンテッソーリ教育で育ち、わが子を自宅で教育する人気子育てコーチである著者がコロナでロックダウンしたロンドンで緊急出版した『モンテッソーリ式 おうち子育て』(エロイーズ・リックマン著、山内めぐみ訳、ダイヤモンド社刊)は、そんなパパ・ママの支えとなり、イギリスでベストセラーになりました。モンテッソーリ、シュタイナー、非暴力コミュニケーション(NVC)など、世界が注目される子育てメソッドを取り込み、おうちでの子育てをストレスフリーに過ごすための方法を、同書から抜粋します。学びを遊びの中に埋め込み、そして楽しい遊びから学んでいける豊富な有能アイデアを紹介します。
おもちゃが多すぎると遊びの質が落ちるという問題
たくさんおもちゃがあれば、たくさん遊べる、と思うでしょう。ですが、さまざまな研究から─そして多くのパパ、ママが実感しているはずですが─おもちゃが多すぎると遊びの質が落ちることがわかっています。
おもちゃがありすぎると、子どもは何で遊べばいいか決められなくなります。まさに「決断疲れ」ですね。私たちだって、レストランで長いメニューを目にしたり、どれも同じにしか見えないけれど少しずつ違うらしいジーンズがずらりと並んだ棚を見たりすると、圧倒されてしまいますよね。
何を探しているのか、あるいは自分が何を持っているのかわからないと、混乱します。子どもなら、おもちゃを次から次へと出して、床を散らかすだけでしょう。
たとえば、子どもに洗濯ばさみ1つか人形を1体だけ渡して、30分様子を見てみれば、遊びを深めるのにたくさんのおもちゃなんていらないと気づくはずです。
よく考えて選んだ自由自在に遊べるものが少しと、あとは場所があれば、山積みのおもちゃよりもよほど豊かに遊べると私自身も実感しています。
ここで、おもちゃのローテーションの出番です。よく考えておもちゃや本を選別すると(使わないものは片付けます)、次のような変化が見られるでしょう。
おもちゃのローテーションの効果
●おもちゃの選択肢が減り、子どものストレスが減ります。
●より充実した、豊かで、想像力に富んだ遊びが生まれます。
●おもちゃがより新鮮で、画期的で、おもしろいものに感じられます。
●おもちゃや本を、「自分で選んで」「取り出して」「しまう」という行為によって、子どもの自主性が育ちます。
●家族にとっても、より静かで、清潔で、整理された環境が得られます。
●片付けの時間が短くなりますし、おもちゃを探す手間も減ります。
おもちゃのローテーションは、いつでも試す価値がありますが、家で過ごす時間がいつもより長いなら、絶対に必要だと言いたいことです。
子どもがより遊びを充実させ、家が散らからなくなるだけでなく、あきたら別のおもちゃと交代させればいいだけですから、新しいおもちゃや本を買う必要もなくなります。お金の節約にもなって、一石二鳥ですよ!