コロナで突然変わってしまった世界は、幼い子をもつ親にとっていっそう大変な状況をうみだしました。かつてなく長い時間、親子が家庭の中に閉じ込められる事態となったのです。しかし逆に難しい時期だからこそ、しっかり子どもを学ばせたい、心豊かに遊ばせたい、家族の絆を強めたいと前向きに考える親が多いことも明らかになりました。自身がモンテッソーリ教育で育ち、わが子を自宅で教育する人気子育てコーチである著者がコロナでロックダウンしたロンドンで緊急出版した『モンテッソーリ式 おうち子育て』(エロイーズ・リックマン著、山内めぐみ訳、ダイヤモンド社刊)は、そんなパパ・ママの支えとなり、イギリスでベストセラーになりました。モンテッソーリ、シュタイナー、非暴力コミュニケーション(NVC)など、世界が注目される子育てメソッドを取り込み、おうちでの子育てをストレスフリーに過ごすための方法を、同書から抜粋します。学びを遊びの中に埋め込み、そして楽しい遊びから学んでいける豊富な有能アイデアを紹介します。
子どもが自分で解決策を考え始める話し方があります
家の中にいる時間が増えたことで、ストレスが増えているのは親だけではありません。子どもだってイライラが増えます。そんなときにどうやっていますか? つい叱ってしまって逆に子どものかんしゃくを引き起こしたりしていませんか?
そんなときに、子どもが自分で解決策を考え始める話し方があります。
それは幼児教育者のマグダ・ガーバーが名づけた「スポーツキャスティング」という話し方です。親はなんの判断もせず、スポーツキャスターのように事実だけを述べる話し方です。
困難な状況に置かれた子どもや、1人でいる子(「クッキーを落として割れちゃったから、悲しんでいるんだね」)や、友だちとけんかをしている子(「2人ともあの車のおもちゃで遊びたかったんだね。でも、車はジェーンが使っていて、まだ遊び終わっていないみたいだよ」)を支えるのにとても役立つ方法です。何も判断せず、ただ見たままを落ち着いて話すだけです。
スポーツ実況放送式で話すと、不思議なことに子どもは自分で解決法を見つけたり、けんかを終わらせる方法を探したりし始めます。
この話し方は、子どもを信頼していると伝えられる方法なのです。「私はここにいて、いつでも助けてあげるけど、あなたならなんとかできると思っているよ」というように。
子どもも、お互いが納得できる解決法を探し始めます(「わかった、ええと、ボールを持ってるのはジョンだけど、2人とも遊びたいんだよね。どうすればいいかなあ?」)。問題を解決する力も、コミュニケーションの技術も、どちらも育つでしょう。
また、この方法で子どもの気持ちを言葉にしてあげられます(「箱に車をしまおうとしてるけど、うまくいかないね。だからイライラしちゃったんだね」)。そうすると、子どもは、自分の気持ちを表現する言葉を学べるのです。
ぜひ、試してみてください。