武漢大学は、中国国内でも「桜の名所」として有名武漢大学は、中国国内でも「桜の名所」として有名(写真は2018年3月22日撮影) Photo:Wang HE/gettyimages

今年もお花見シーズンがやって来た。通常であれば、お花見を目当てに大勢の訪日外国人観光客がやって来る季節だが、今年は昨年に引き続き、新型コロナウイルスの影響で外国人の姿はほとんど見られない。これまで、「お花見といえば日本」と思い、この時期に来日することを楽しみにしている中国人がいたが、出国できない今年は、中国国内でお花見ブームとなっている。中国人の間では「お花見といえば中国」という声すら聞かれ始めた。その理由とは。(ジャーナリスト 中島 恵)

中国国内でも有名な
武漢大学は「桜の名所」

 東京の開花発表よりも10日ほど早い3月上旬、中国・武漢にある武漢大学のウィーチャット公式アカウントを見ると、ちょうど同大学キャンパス内のお花見のネット予約が開始されたところだった。コロナの影響により、数日間の期間限定で、感染予防の条件をクリアした予約者のみ無料で入場できる形式となり、大勢の市民や観光客がお花見を楽しんだ。

 また、お花見期間中の2日間に限り、昨年、コロナの治療に当たった各地の医療従事者やその家族などを大学側が招待。医療従事者たちがお花見を楽しむニュースは、武漢大学の満開の桜並木の映像とともに、中国で大きく報道された。

 武漢といえば、コロナで世界的に知られることになったが、武漢大学は以前から「桜の名所」として中国国内では有名だった。武漢大学は中国の大学ランキングで、常にトップ10に入る名門校だ。通称は「武大」(ウーダー)。1893年の創立で、文系、理系の学部は合わせて30以上、学生数は約6万人に上る。中国の大手スマホメーカー、シャオミ(小米科技)の雷軍CEOなど、卒業生の中には著名人も多い。