毎日新聞は、新聞協会賞編集部門の最多受賞歴を誇る。メディアの役割を発揮するために抜本的な成長戦略の断行が必要だ毎日新聞は、新聞協会賞編集部門の最多受賞歴を誇る。メディアの役割を発揮するために抜本的な成長戦略の断行が必要だ Photo:Diamond

毎日新聞社が大阪市にある自社ビルなどを信託銀行に譲渡し、210億円を借り入れることが分かった。販売部数の減少に歯止めが掛からない毎日新聞は、社員の早期退職などのリストラを進めてきたが、虎の子だった不動産も手放さざるを得なくなった。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

大阪本社の譲渡に加えさらなるリストラ策も!
時事通信との契約解除も決定

 いよいよ毎日新聞社が追い詰められた。資金繰り対策のために、「優良自社物件」の所有権を放棄することになったのだ。

 毎日新聞の部数はピーク時の1979年の426万部から、2019年は243万部へと43%も減少。反転攻勢の兆しは見えない。

 こうした中、相次いでリストラ策を打ち出してきた。19年以降、200人規模の人員削減や原稿締め切り時間の繰り上げ、資本金の大幅な圧縮(節税のための減資)などでキャッシュを捻出してきたのだ。

 毎日新聞社の社員の間では「次は自社ビルを手放すのでは」とまことしやかにささやかれていたのだが、今回、いよいよ自社ビルがリストラのターゲットとなった。

 ある毎日新聞関係者は「最後の“米蔵”とされる大阪本社が、本社不動産を信託銀行に差し出したことは象徴的な出来事で、終章へのカウントダウンが始まった予感がする。新聞業界では『“毎日新聞倒産へ”の予定稿作りをしておけよ』は鉄板ネタの一つだが、本気で予定原稿のアップデートを始める新聞社も出てくるのではないか」と声をひそめる。

 では実際に、毎日新聞社はどのようなスキームで資金繰りを乗り切ろうとしているのか。