原子力規制委員会は、東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護施設で判明した機能喪失について、安全重要度で最も深刻な「赤」と評価した。柏崎刈羽原発の早期再稼働は厳しい情勢だ。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
ずさんなテロ対策が露見
追加検査に少なくとも1年以上
原子力規制委員会の更田豊志委員長は3月16日夜の臨時会見で、東京電力ホールディングス(HD)へのいら立ちをあらわにした。「不正だと分かっていてやらなかったのか。知識が足りなかったのか。技術的な能力が足りなかったのか。あるいは、なめていたのか」。
東電HD柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の核物質防護施設で、外部からの不正な侵入を検知する機能が一部喪失し、少なくとも3年にわたってその状況が改善されていなかったことが、原子力規制委の調査によって判明した。テロ対策がずさんだったのだ。
原子力規制委は柏崎刈羽原発の核物質防護施設の不正侵入検知設備の不備について、詳しい経緯を追加検査する方針を示した。追加検査は少なくとも1年以上かかる見通しで、これが終わらないと柏崎刈羽原発は、再稼働のステップに踏み出すことはできない。
柏崎刈羽原発は2017年に6・7号機が原子力規制委の安全審査をクリアし、7号機は安全対策工事を終えて早ければ21年6月にも再稼働できる状態になるというのが、東電HDの当初描いていたシナリオだった。