足もとで、為替を動かすテーマは変わりつつある。先進国通貨のパワーバランスはどう変化するのか(写真はイメージです) Photo:123RF

先進国通貨の買い要因は
すでに「需給」ではなくなっている

 2021年も最初の3ヵ月が終わろうとしている。2020年はドルを中心に、先進国通貨において「金利のない世界」が常態化する中、経常黒字や貿易黒字、対外債権といった「需給」が強い影響力を持った年だった。

 これは2020年、ドルの名目実効為替相場(NEER)を最も押し下げたのがユーロや人民元、そして円という世界最大級の経常黒字や貿易黒字を擁する通貨だったことからも、確認できる事実である。だが年初3ヵ月の取引を終えて、「需給」というテーマは1つの区切りを迎えたと言って良さそうだ。

 図表1は年初来の対ドル変化率に関して比較したものである。対ドルで上昇率を確保している通貨はカナダドルと英ポンドのみで、それ以外の通貨はすべからく下落している(3月29日時点の実績)。ユーロ、円、スイスフランといった世界的に大きな経常黒字を誇る通貨がまとまった幅で下落していることから、少なくとも「需給」が買い要因になっていないことは分かる。当局の恣意性が映じられるため単純比較は馴染まないが、世界第2の貿易黒字大国である人民元も、昨年のような勢いは感じられない。

新しい3大テーマは「金利」
「コロナ抑制状況」「原油」

 では、現在の為替市場のテーマは何か。筆者は、「金利」「コロナ抑制状況」「原油」だと整理している。「金利」については、多くの説明を要しまい。前述のように、基本的にほとんどの通貨は対ドルで下落している。これは過去3ヵ月の米金利上昇を評価した動きと考えて差し支えないだろう。もちろん、他通貨の金利も上昇してはいるが、基本的には米金利上昇に追随する動きである。ほとんどの通貨がドルに勝てていないのは、米金利上昇の賜物であろう。

 時節柄、注目したいのは「コロナ抑制状況」である。これは端的には、ワクチン接種状況だ。名目実効為替相場(NEER)ベースでG7通貨の年初来の推移を見てみると、最強通貨が英ポンド、最弱通貨が円という傾向は明確である(図表2参照)。