退職金の受け取りは「一時金」と「年金」どちらが得?正解へ導く5つの法則Photo:PIXTA

退職金の受け取り方には幾つかのパターンがあり、どれを選ぶかによって手取り収入に100万円以上の大差がついてしまうことも。4年前にその試算結果を本連載で紹介したところ、大きな反響をいただき、退職金の受け取り方に関する相談が相次いだ。そこで今回は、その多数の相談事例で増やした私の“引き出し”の中から、お得かつ自分に合った受け取り方法を考えるための「法則」を選び抜いたので、参考にしていただきたい。(生活設計塾クルー ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)

退職金は「一時金」と「年金」を
組み合わせて受け取れる!

 会社員の退職金の受け取り方法は、「一時金のみ」「一時金+一部を年金」「すべて年金」など幾つかのパターンがあり、制度内容や選択の自由度は勤務先によって異なる。

 日本経済団体連合会、東京経営者協会の「退職金・年金に関する実態調査」(2018年9月度)には、「一時金と年金の併用」の企業が72.1%、「一時金のみ」が10.9%、「年金のみ」は13.0%とある。一時金と年金の組み合わせを採用している企業は意外に多い。

 一時金と年金の受け取り割合を自由に決められるとして、みなさんならどう選択するか。退職金を年金で受け取ると、勤務先または企業年金が運用しながら支払ってくれるため、額面の受け取り総額は年金として受け取った方が多くなる。「せっかくだから、受け取り額の多い方を選ぶ」と考える人が多数だろう。

 しかし、年金から差し引かれる社会保険料は年々増加しているし、年金生活者にとって打撃となる増税も実施されているため、年金の手取り額は減り続けている。

年金の額面収入300万円で試算すると
21年間で36万円も手取りが目減り

 例えば、公的年金と企業年金の合計額が額面300万円の場合の手取り収入は、1999年には290万円であったが、20年には254万円。なんと21年間で36万円も減っているのだ(妻が基礎年金のみの専業主婦で東京都23区在住のケース)。額面収入に対して1割以上もの目減りは、年金生活者のデモ行進が起きてもおかしくない減少率だと思う。

 4年前に友人から退職金の受け取り方法の相談を受けたことをきっかけに、じっくりと手取り収入を計算し、受け取り方による金額を比較。その結果を17年3月の本連載コラムで事例として紹介した。

 退職金の話題なので、編集部も私も「定年直前の人だけが関心を持って読むのだろう」と思っていたのだが、予想に反して幅広い年齢の人にお読みいただいた。日頃はあまり頻繁に連絡を取り合っていない学生時代の友人や取引先の40~50代の人から、記事の公開日だけで「コラムを読んだ」と10通以上のメールをもらうほど。多くの人が気になるテーマだったのだと改めて知ることになった。

 その時に掲載した結果が次ページのグラフである。