ソーシャルメディアとスマートフォンの普及を背景に、ネットから実店舗へ誘導する、あるいはリアルでのコミュニケーションを促すO2O(オンライン・トゥ・オフライン)の動きが活発になっている。マイクロギフトサービスを謳う「giftee(ギフティ)」や、「ソーシャルランチ」などのミートアップ支援サービスが代表例といえる。

市販のバーコードリーダーとFacebookページを用意すれば、誰もが簡単に図書館を開設できる「リブライズ」。飲食店などのリピーター獲得にも役立ちそうだ

 先頃リリースされた「リブライズ」も、O2Oサービスの好例といえるだろう。こちらはFacebookアカウントを活用して、誰もが手軽に“図書館”を開設できてしまうというサービスだ。開発にあたったのは「下北沢オープンソースCafe」店長の河村奨氏と、フリープログラマーの地藏(ちくら)真作氏の二人。コワーキングスペースから生まれたサービスという点も、個々がコラボレーションしていくソーシャル時代を反映しているといえそうだ。

「私の自宅近くにもあるのですが、公民館のようなパブリックな場所には、本棚がよく置いてあります。ですが、誰かが手に取って読んでいるようには見受けられませんでした。そうした場所を紹介することができれば、本が活きることになるかもしれない。そう考えたのが開発のきっかけです」(地藏氏)

 一方で、河村氏もオープンソースカフェの一室を図書室としており、そこに置いてある数百冊以上の本を管理したいという切実な思いがあったという。「起点は違うかもしれないが、人が集まる場所に置いてある本棚を何とかしたいという気持ちは同じ」(地藏氏)だったという二人がタッグを組み、誕生したのがリブライズというわけだ。

 リブライズで蔵書を公開するには、自身がオーナーとして管理するFacebookページと市販のバーコードリーダーを準備するだけでよい。PCにバーコードリーダーを接続し、リブライズにログインした状態で書籍のバーコードをスキャンすれば、自動的に本棚に追加されていく仕組みだ。誰がどんな本を借りているかといった情報もオープンにされるので、図書の貸出状況もひと目で把握できる。

 逆に、本を借りるときは、Facebookにログインした状態からスマートフォンでリブライズのサイトにアクセスする。するとバーコードが表示され、これが貸出カードとなる。このバーコードと書籍とを図書館運営者側のスタッフにスキャンしてもらえば手続きは完了。借り受けた書籍の情報は、リブライズ及び、ユーザーのFacebookのタイムラインに反映される。

「まだこれが最終形ではなく、操作の手間を最小限に減らそうと、かなり試行錯誤を行ってます。具体的には、ウェブブラウザを開いてログインしていれば、どの画面からでも本のバーコードを読み取ることで登録・参照ができる。あるいは、利用者のスマートフォン画面と書籍のバーコードをスキャンするだけで、貸し借りが完了するという部分ですね」(地藏氏)

 オープンソースの図書館システムは存在するものの、多くは専用のプログラムをインストールする必要がある。そうした煩雑さを省き、Facebookアカウントとバーコードリーダーというシンプルな仕組みで実現させたところにリブライズの新しさがある。

 現在はコワーキングスペースやカフェを中心に広がっているようだが、図書の貸出は店舗にリピーターを呼ぶ込む契機ともなる。今後のビジネスモデルは未定というが、活用次第では、様々な業種で面白い効果が期待できそうだ。

(中島 駆/5時から作家塾(R)