中国の外交は目的意識を持ち
精緻に計算されている

 中国は、目的意識を持って精緻に計算された外交を展開している。韓国の思い付き外交ではとても太刀打ちできないだろう

 先月18、19日の米中外交トップ会談での激しい対立の後、王毅外相が真っ先に会ったのがロシア・ラブロフ外相であり、中ロ両国による「反米強調」を誇示するためのものであった。

 次いで3月31日から3日間、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピンの外相と相次いで会談した。今年4月1日は中国の戦闘機が南シナ海上空で米軍偵察機と衝突し、中国側の操縦士が死亡してから20年目となる日であった。この時期に会談を行うことで、中国は米国に対し、南シナ海領有権問題への干渉や妨害を容認しないという意思を明確にしたのだろう。

 さらに王毅外相はサウジアラビア、トルコ、イランなど中東諸国6カ国の外相と会談した。特にイランとは、2018年にトランプ政権がイラン核協定を離脱して制裁を再開してから生じた隙間に食い込もうとするものである。

 そうした中での中韓外相会談であるが、会談場所の厦門は台湾の金門島から35キロしか離れておらず、台湾を巡り神経戦を繰り広げる米国を意識して選定した場所であろう。その象徴的な場所に鄭外相はのこのこと赴いたのであり、米韓の離間を図ろうとする王毅外相の策略に乗せられたものであろう。

北朝鮮という外交カードで
中国は米韓同盟にくさび

 中国への出発に先立ち鄭外相は「今回の会談は韓米(3月17日)、韓ロ(同25日)外相会談に続き、朝鮮半島周辺国との戦略的疎通を続けるためのものだ」と述べ、さらに出発の際「朝鮮半島平和プロセスを進展させるためには中国との協力が非常に重要だ」との認識を語った。

 バイデン政権は日米豪印4カ国(クアッド)を通じ民主主義陣営による対中包囲網形成を進め、韓国にもこれに合流することを促している。しかし、中国は北朝鮮への後ろ盾としての影響力を外交カードとして駆使し、米韓同盟強化にくさびを打ち込もうとしている。

 中朝間には朝鮮戦争以来の防衛条約がある。これによって北朝鮮が攻撃を受けた場合、中国は自動介入することになっている。中国は、これまで北朝鮮の核・ミサイルの脅威と米軍介入の懸念から、北朝鮮の挑発行動を快く思っていなかった時期があった。しかし、米中対立がこうした図式を変えてしまった。

 それを象徴するのが、金正恩総書記と習近平国家主席の会談であり、2018年3月以降、15カ月間に5回も行い「両国関係は歴史的新時代に差しかかった」と宣言した。

 金日成主席、金正日総書記とは違い、経済制裁とコロナの打撃を受けた金正恩総書記はますます中国に依存しなければならない状況にある。

 中国にとっても朝鮮半島問題で自らの影響力を行使するカードとして北朝鮮の価値は高まっている。

 こうした両者の思惑があって会談を重ね、中朝連携を図っているのである。

 北朝鮮が非核化に応じることは中国の影響力を弱め、米国へのカードを失うことになるだろう。