旭化成に続いてルネサスも
半導体工場火災の続発はなぜか
日本の「ものづくり」の心臓部から、相次いで火の手が上がっている。
昨年10月の旭化成マイクロシステム延岡事業所に続いて、先月19日にはルネサスエレクトロニクスの那珂工場でも火災が発生。自動車、スマホなどで半導体は必要不可欠な存在なので、当然これらの火災のインパクトは大きく、すでに自動車メーカーは減産を余儀なくされている。
そこで気になるのは、なぜここにきて半導体工場の火災が相次いでいるのかということだろうが、ものづくりの現場や専門家から聞こえてくるのは、「日本の工場、火災に弱い説」だ。
何やら半導体工場ばかりで火災が起きているような印象を受けるだろうが、実は実態としては、「工場」全体で火災が頻繁に起きている、と言った方が正確だ。
《東証の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で企業が発表した工場の火災事故は4年間で22件。特に20年は8件と過去3年(4~5件)を上回る。消防庁の調べでは19年の鉄鋼や化学の工場や倉庫などを含む危険物施設の火災事故発生件数は218件と09年比3割強増えた。同庁は「全体の施設数が減少しているにもかかわらず、高水準で推移している」》(日本経済新聞2020年12月8日)
コロナショックで製造業の人員削減が進んでいたことも影響をしているのか、昨年に限っていえば、なんと1カ月半に1回のペースで上場企業の工場火災が起きていたことになるのだ。
では、なぜこれほどまでに日本の工場は出火しやすくなってしまったのかというと、「老朽化」を挙げる人が多い。「ものづくり大国」として全国に工場がボコボコ建てられた1980年代から、40年が経過している。人間でも40を過ぎたあたりから急にあちこちにガタがくる。それと同じで、工場も老朽化によって、作業員たちの気づかないところで機器トラブルなどが発生し、火災につながってしまったのではないかというのだ。