東芝東芝の3月の臨時株主総会で、モノ言う株主の提案が可決されたことで、東芝の車谷社長の再任に黄信号が灯っていた Photo:Bloomberg/gettyimages

東芝が、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズへの身売りの検討を始めた。CVCへの東芝売却は車谷暢昭社長兼CEO(最高経営責任者)批判の急先鋒だったモノ言う株主を排除できるため、現経営陣にとって渡りに船だ。一方、東芝社内からは、売却後、さらなるリストラや事業の切り売りが待ち受けているのではと、早くも懸念の声が上がっている。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

「CVCがエフィッシモより甘い」は希望的観測
リストラと事業売却は避けられず

 東芝が、CVCキャピタル・パートナーズからの買収提案を検討していることを明らかにした4月7日、東芝株価は前日比18%高となり、2018年4月の車谷氏のCEO就任時以来、最高値を記録した。

 CVCによる東芝買収提案の株主のメリットはそれにとどまらない。買収提案の1株当たりの買い取り価格は、提案が明らかになる前の株価の18%高どころか、約30%のプレミアムが上乗せされているとみられるのだ(買収総額は2兆円規模)。

 このように、CVCの買収提案は、東芝の株主に大きな利益をもたらし得るものだが、他方で、東芝を買収するCVCのメリットについては意外と注目されていない。

 東芝買収後のCVCのイグジット(出口)戦略を考えれば、東芝を待ち受けるのが「いばらの道」になることは明白だ。