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旧村上ファンド出身者が運営するシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントが先週、東芝に取締役選任を求める株主提案を行ったことが判明した。業界を驚かせたのは、数々の大型企業不祥事で第三者委委員会調査などを手掛け、その道の第一人者として知られる國廣正弁護士が、エフィッシモ側の法務アドバイザーに就いたことだ。かつてインサイダー取引という不祥事を起こしたファンドの関係者と、國廣弁護士はなぜ“タッグ”を組んだのか。國廣弁護士が取締役候補に推す竹内朗弁護士と共に、その真相をメディアに初めて激白した。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

東芝不祥事の「土壌」は変わっていない
孫会社で発覚した架空循環取引を問題視

 エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは2006年、旧村上ファンドを率いた村上世彰氏がニッポン放送株のインサイダー取引事件で逮捕されたため、村上氏の部下だった高坂卓志氏、今井陽一郎氏、佐藤久彰氏が村上氏と完全に袂を分かつ形で設立したファンドだ。

 シンガポールに拠点を置きながら数多くの日本企業に投資し、株主提案を行うアクティビスト(物言う株主)として知られる。

 そのエフィッシモが、筆頭株主である東芝に対して株主提案を行ったことが判明したのが6月22日。その内容は、弁護士の竹内朗氏、元花王の杉山忠昭氏、そして今井氏の3人を取締役に選任するよう求めるものだ。

 このうち竹内氏と杉山氏を取締役候補にするようエフィッシモに推薦したのが、弁護士の國廣正氏である。國廣氏は、1997年に自主廃業した山一證券の社内調査委員会のメンバーに就いて以来、企業のコンプライアンスに長年携わる危機管理のスペシャリストだ。

 東芝は15~16年、不正会計や米原発子会社ウェスティングハウスの巨額損失が相次いで発覚し、経営危機に瀕した。その後は事業整理や財務改善を進め、業績の回復基調にあるが、今年に入って孫会社の東芝ITサービス(TSC)で発覚した架空循環取引とその後の対応について、國廣氏は「不祥事を生む東芝の“土壌”は変わっていない」と断罪する。

 國廣氏と竹内氏との一問一答は以下の通り。

――エフィッシモの法務アドバイザーを引き受けた経緯は?

國廣弁護士 今年3月、ある弁護士を通じて面談の打診がありました。その弁護士によれば、エフィッシモは東芝ITサービス(TSC)の循環取引を問題視し、「東芝がごまかしているようにみえる」と。そのため自分たちの感覚が正しいのか、私の見解を聞きたいということでした。

 そこで私も東芝の報告書を読んだのですが、率直に言って「これはダメだ」と思いました。要するに「孫会社がやったことで東芝全体の問題ではない」「証拠がない以上、黒とはいえない」ということが書かれている。