中国政府は7月1日、同国内でのハイブリッド車や電気自動車の製造を希望するメーカーを対象にした「新エネルギー自動車生産企業及び製品参入管理規則」(日本の“法律”並みの効力を持つ)を施行した。

 公布された規則によると、規則導入の公式目的は、技術の進歩や環境の保護、省エネの進展などに役立てること。だが、この規則では、実際の参入許可を得るために、各メーカーに対し、製造する新エネルギー自動車の技術情報を開示するよう義務付けている。

 その一方で、中国政府はこれまで、リチウム電池の製造に必要なリチウムなどのレアメタルに輸出規制をかける形で、電気自動車の製造に不可欠な資源の囲い込みを進めてきたことでも知られている。

 こうしたことから、内外の自動車業界は、今回の規則で「技術情報が中国企業に流出する恐れはないのか」、「中国政府が資源の囲い込みと合わせて、同国内の電気自動車メーカーなどの産業保護・育成を目論んでいるのではないか」との不審を払しょくできないでいるのが実情だ。

 今さら言うまでもないことだが、中国の経済統制の強さは有名な話である。

 自動車市場でも、今年前半(1-6月)の新車の販売台数が前年同期比で17.7%増の609万8800台と、初めて半期ベースで米国(約480万9000台)を抜き、世界最大の市場に躍り出た。また、中国自動車工業会は、年間の販売台数が1100万台を超えると予測しており、1000万台の維持が難しいとみられている米国を上回って、2009年の通年でも中国が世界一の座を占めるのは確実とみられていれる。

 そして、この背景にあるのが、農村部向けの小型車を中心とした減税などの国家による販売奨励策だ。

 地球温暖化対策の必要性が国際的に叫ばれ、従来型のガソリン車に代わる自動車の開発・育成競争が激しくなる中で、母国の自動車市場が世界一の規模を持つまでに成長したことは、中国メーカーにとって非常に大きなフォローである。

 一方で、中国はかねて、国内で販売するパソコンに7月1日から「検閲ソフト」の搭載を義務付ける方針を発表していたが、これについては「新エネルギー自動車生産企業及び製品参入管理規則」のように施行を強行できず、延期せざるを得なかった。