――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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ETF(上場投資信託)が数十年かけて伝統的な投資業界にもたらした変化が、暗号資産(仮想通貨)投資の世界ではわずかな時間で起こるかもしれない。
米国でもようやく、そう遠くない将来にビットコインETFが登場するとの見方が強まっている。米証券取引委員会(SEC)委員長に指名されているゲイリー・ゲンスラー氏は仮想通貨について講義をしていた人物だ。ビットコイン市場はここ数カ月で急成長を遂げ、今では複数の大手機関も参入している。ヴァンエック、フィデリティなどは再びビットコインETFを巡る規制当局の承認を求めている。
既に大きな潜在需要があることも示唆されている。北米初のビットコインETFとなったパーパス・ビットコインETFには、トロント市場に上場した2月以降、およそ10億ドル(約1100億円)の資産が流入している。グレースケール・ビットコイン・トラストは先週、上場しているビットコインファンドをETFに転換するという長年の意向を改めて強調した。
長らく大幅なプレミアム水準で取引されていた同ファンドがこのところ、保有するビットコインの純資産価値に対し割安な水準で取引されていることについて、アナリストの多くはETFの到来が一因とみている。