高級韓国コスメが狙うのは
前例のない独自の立ち位置

 一方で若年層にとっては、「韓国コスメ」であること、「トレンドアイテム」であることが、購入の意思を左右する。日本の若年層の中では、「Aという韓国ブランドの口紅」や「Bという韓国ブランドのファンデーション」と、商品単位でトレンドになりはするものの、ブランドそのものに注目している若者は少ないという。

「私たちのような高価格帯の韓国コスメブランドが日本で目指すのは、1つの商品だけを爆発的にヒットさせるのではなく、『ブランド』として受け入れてもらうことです」(岸氏)

 ブランドのファンになる顧客を獲得し、細く長く愛されるポジションを築いていく。それこそが、高級コスメを提供する韓国ブランドが日本で定着していくための道というわけだ。

「そのためには、お客様に心から満足していただき、『このブランドのコスメだから』という購入動機を持っていただけるような製品づくりが最重要です。徹底した現地化も、お客様の満足度を高め、高品質な製品だと感じていただくためには不可欠な手順であると考えています。当社では、4月から女優の小雪さんがブランドミューズに就任されました。日本のミドル世代の憧れの存在である小雪さんにご登場いただくことも、ローカリゼーションの一つと考えています」(岸氏)

 プチプラ韓国コスメとは真逆の路線を進む高価格帯韓国コスメだが、高級コスメを目指しているわけではない。

「コスメの選択肢は “プチプラコスメ”と “高級コスメ”という二極化した状況にあります。その中で私たちのような“高級韓国コスメ”のブランドが目指すのは、“真ん中”のポジションです。年齢を重ねた女性は、周りの目を気にしてプチプラコスメを持つことに抵抗を感じる人も少なくありません。しかし、すべてのメークアップアイテムを高級なグローバルブランドでそろえることは、経済的に厳しい。われわれは“真ん中”にも需要があるはずという見通しの元、どこともかぶらない独自の立ち位置のグローバルブランドを目指しています」(岸氏)

 独自の路線で日本展開を進めている高級韓国コスメ。今後、BONOTOX Japanに続くブランドが登場してくるかもしれない。