かつて米大手企業にとって政治戦略を立てるのは極めて容易だった。税制・規制面で自社に好ましい政策を推進してくれそうな共和党主流派の政治家に幾らか献金し、超党派の取り組みへの保険として、民主党の一部穏健派向けにわずかな資金を用意すればよかった。政治的論争が激化すれば、沈黙しているだけでよかった。そうした古き良き時代は過ぎ去った。小切手を切った後は傍観者でいるという戦略は、政治的な分野で積極的に発言する戦略に取って代わられつつある。なぜ今なのか。この新たな環境は極めて明白で、広く認識されている。一部の経営者とその企業は、2020年米大統領選挙の結果の承認を阻止しようとした共和党側の試みにはっきりと反対を表明し、こうした動きを支持した議員への献金を停止した。コカ・コーラとデルタ航空は、両社の本社があるジョージア州での投票手続きをめぐる新法を、公に非難した。