新型コロナ拡大を機に日本でも急速に広まった「テレワーク」。多くのビジネスパーソンが、WEB会議やチャットツールの使い方など、個別のノウハウには習熟してきているように見えるが、置き去りにされたままなのが「テレワークのマネジメント」手法だ。
これまでと違い、目の前にいない「見えない部下」を相手に、どのように育成し、管理し、評価していけばよいのだろうか? その解決策を示したのが、パーソル総合研究所による大規模な「テレワーク調査」のデータをもとに、経営層・管理職の豊富なコーチング経験を持つ同社執行役員の髙橋豊氏が執筆した『テレワーク時代のマネジメントの教科書』だ。
立教大学教授・中原淳氏も、「科学的データにもとづく、現場ですぐに使える貴重なノウハウ!」と絶賛する本書から、テレワーク下での具体的なマネジメント術を、解説していく。
e-ラーニングのコンテンツを用意する
前回、テレワーク下で効果的なOJTをするには、「仕事マップ」をつくっておくのが必須だとお話しました。それと、同時に用意しておきたいのが、e-ラーニングのコンテンツです。
これは実際に新人が仕事を始めるようになってわからないことが出てきたときに、その点のみをピンポイントで調べることができる、いわゆるオンデマンドタイプのコンテンツです。
今後テレワーク化が進むと「ちょっとしたことを聞くために、わざわざ上司に連絡をとるのは気がひける」といった状況が必ず頻発します。すでにコンテンツをアーカイブしている企業もあるかと思いますが、今後はよりいっそう充実させていきましょう。
ひとつのコンテンツは1~3分の動画に収める
ひとつのコンテンツは1~3分の動画に収めます。いまのマネージャー世代などは1~2時間の動画を見せられた記憶があるかもしれませんが、いまはマイクロラーニング化が進んでおり、短ければ短い方がよいと言われています。
項目を細分化し、本当に必要な情報だけを取りに行けるようにする方が効率がよいからです。たとえば「エクセルの関数の使い方」ならその中の関数を具体的に指定して1本のコンテンツをつくってください。
こうしたコンテンツを有効活用するには、やはりこれまで何度もお話してきたように、新人自身に能動的になってもらうしかありません。どれを見なさい、と上司や先輩に言われなくても、わからないと思ったら自分から情報を探しにいく、とりあえずあれこれ見てみる、というスタンスを徹底させなければ成長の道筋はありません。