人間の心臓を持ったブタ、ヒト並みの知能を備えた脳を持つマウスといったものを思い描いてほしい。科学者は目下、マウスやブタ、ウシに人間の細胞を注入することで、「キメラ」と呼ばれる実験的な創造を相次ぎ行っている。そもそもは、将来的に移植する器官を提供する、または疾患の研究や新薬開発に役立てることが目的だ。  米中の研究者らは今月、世界で初めて人間とサルの細胞を合わせた胚をつくったと発表した。これまでのところ、人間とサルのキメラは、実験室の培養皿の上で細胞の芽が集まっただけの状態だが、倫理の専門家はそれが意味するものは広範にわたると指摘している。