警察改革法案の成立目指す
バイデン大統領に世論の追い風

 大規模な社会改革を目指すバイデン大統領はこの機会を逃さず警察改革法案の成立に意欲を燃やしている。法案には、警官が容疑者を拘束する際に首の頸動脈を押さえつける手法の禁止、令状なしの家宅捜査の禁止、警官を訴訟から保護する「限定的免責」の廃止などが含まれている。

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 法案は昨年6月に下院を通過したが、上院で成立に必要な60票を獲得できないまま時が流れている。苛立つバイデン大統領は、フロイドさんの命日である5月25日までに成立するよう米議会上院に圧力をかけていくだろう。

 世論は大統領に追い風だ。米ワシントン・ポスト紙とABCニュースによる共同世論調査によれば、警察改革法について米国民の15%がバイデン大統領は「やり過ぎ」、32%が「適度」、42%が「少なすぎ」と回答している。だが、民主、共和両党の意見の隔たりが大きく、成立は困難だと見られている。

 黒人公民権運動のリーダーで凶弾に倒れたマーチン・ルーサー・キング牧師はこんな言葉を残している。

「人を動かすだけの社会運動は単なる反乱だ。しかし、人と制度の両方を変える運動は革命である」

 アメリカの抜本的な警察改革には革命が必要なのだ。

【訂正】記事初出時より以下のように修正しました。
10段落目:1963年にリンカーン大統領がゲティスバーグで奴隷解放宣言を行ない→1863年にリンカーン大統領がゲティスバーグで奴隷解放宣言を行ない
(2021年5月11日10:30 ダイヤモンド編集部)