人間はそれほど賢くない
ダイヤモンド社書籍編集局第三編集部編集長
おもな担当書籍に、ダイヤフェア2021にもノミネートされた『哲学と宗教全史』(ビジネス書大賞2020特別賞、14刷11万部)『ザ・コピーライティング』(広告の父・オグルヴィ絶賛、25刷11万部)『志麻さんのプレミアムな作りおき』(料理レシピ本大賞入賞、22刷18万部)など。1998年から書籍編集をはじめ、全150冊(うち処女作26冊、最新処女作は『売上最小化、利益最大化の法則』)、生涯重版率8割。野球歴14年。「技術と精神がドライブがかった本を、孫の世代まで残る百年書籍を、光のあたらないところに光があたる処女作を」が3大モットー。
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寺田:出口さんはよく「人間の脳は1万2000年以上変わっていない」という話をされます。この「昔も今も人間の脳はほとんど変わらない」という視点が、この本をどんどん読み進めるドライブになっていると思います。
ただ、現代の我々は、知力・体力ともに衰えていっている気がしますが…。
出口:これだけ便利になったら脳も身体も使わないから退化するのは当然です。
変な話ですが、僕は今、メガネをかけていません。これはちょうど4年くらい前にメガネをなくしたのがきっかけです。とにかく忙しくて、メガネをなくしてから3ヵ月後に目の検査をしたら、メガネ屋さんから「今の状態なら、メガネをかけなくても、別に日常生活は困りませんよ」と言われた。それから、メガネをやめてしまったのです。すると、視力がよくなってきたんですよ(笑)。
寺田:なんと!
出口:あと、僕が30歳くらいのときに、面倒くさいので腕時計を捨てたのですが、それから腕時計がなくても、だいたい時間が読めるようになりました。おそらく、動物的な時間感覚が元に戻ったのだと思います。
どんな臓器も使わないとダメになります。人間の脳も臓器の一つなので、使わないと衰えるのは当然です。
僕は、人間の脳は1万2000年、ほとんど進化していないと思っていますし、人間はそれほど賢くないと思っています。
賢くないから、時代の影響をものすごく受ける。だからこそ、その人物が生きた時代背景をしっかり理解しなければ、その中に生きた個人の思想・哲学もわからないと思っているのです。