ヤマトHD、25年度1Qは赤字でも通期は「営業利益2.8倍」予想のワケ…黒字化の鍵を握るのは?Photo:Diamond

ヤマトHDの業績が振るわない。2026年3月期第1四半期決算は、増収でも営業・経常・最終赤字に沈んだ。しかし、通期では営業利益400億円(前期比約2.82倍)を予想する。カギとなるのが「値上げ」だ。宅配便の取扱数量と単価をどのように上げる算段なのか。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です

宅急便の法人単価が6四半期ぶりに上昇

 ヤマトホールディングス(本社・東京都中央区、長尾裕社長)が7月30日に発表した2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高4373億5200万円(前年同期比7.8%増)、営業損失64億9400万円(前年同期は142億400万円の赤字)、経常損失66億5600万円(前年同期は148億7500万円の赤字)、純損失54億2400万円(前年同期は101億1200万円の赤字)となり、増収を確保したほか、各段階の損益は赤字幅を大きく縮めた。

 売上面では、宅急便部門における小口法人・個人の顧客からの取扱数量の拡大、法人部門における大口法人顧客に対するプライシングの適正化、法人向けビジネスの拡大など、収益構成の変革に向けた取り組みが進展した。前期から進めてきた交渉結果が順次反映され、低採算顧客を中心にプライシングの適正化が進展し、法人単価は6四半期ぶりに上昇。1Qにおける宅配便3商品(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の単価は前年同期比0.4%増の709円、取扱数量は2.6%増の4億6317万5000個だった。

 利益面では、宅急便ネットワークの強靭化に向けた人的資本への投資や、集配拠点の再配置といったネットワーク投資を実行したことで営業費用が増加したものの、輸送領域のオペレーション見直しやコストコントロールに注力したことで、利益改善につなげた。