「麻布→東大卒」でありながら「プロゲーマー」という経歴が、世間の話題となったときどさん。しかし順風満帆だった彼のプロゲーマー人生は、ゲーマー20年目の2013年ごろに壁にぶつかった。格闘ゲームのeスポーツ化による環境の変化によって、全く勝てなくなったのだ。
2冊目の著書『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』では、そのV字回復の軌跡を紹介しながら、ときどさんが毎日やっている「努力のやり方」を紹介している。「圧倒的に変化が激しい」eスポーツの世界で戦うために、必要なこととは何か。ビジネスマンにも役立つエッセンスを語ってもらった。
(こちらは2020年1月の記事を再掲載したものです)

成長できる人と、いまいち伸び悩む人をわける「たった一つの行動」Photo: Adobe Stock

居心地のいい環境だと成長しない

 競争の世界で一番になる人も、最初からそうだったわけではありません。
 たいてい、最初は所属する身近な環境で一番になります。クラスで一番になり、学年で一番になる。
 学区で一番になるくらいだと、県大会に出るレベルかもしれません。規模が大きくなるほど、競争の環境は厳しくなっていきます。

 小学校で一番になった子どもが、中高と進学する度にレベルの高い環境に進む。スポーツでも勉強でもそれは同じです。自分の能力に合わせた環境に移っていくわけです。
 このプロセスで重要なのが、自分に居心地のいい環境ではなく「少し背伸びした環境を選ぶ」ことです。

 「ドラゴンクエスト」などのロールプレイングゲームでは、フィールドによって敵の難易度は異なります。次のフィールドに移ると、より強いモンスターが出てきます。

 従来のフィールドで敵なしになるまで戦ってから、次のフィールドに移れば楽はできますが、成長は遅くなるものです。なぜなら次のフィールドに存在する強いモンスターと戦うことで得られる経験値は、従来のフィールドのモンスターと比べるとはるかに高いからです。初期に出てくるスライムをずっと相手にしていても、レベルはなかなか上がりません。

「平均点」を目指す→「75点」取れたら次に行く

 難しく考えずに、集団の中ではまず平均的なレベルを目指すことです。その集団の中で誰でもできることを、きちんとできるようにする。100点満点中、おおよそ60点から65点くらい。平均点であれば、そこそこの積み重ねで到達します。他人より格段にうまくなろうとか、100点を目指そうと意気込む必要はありません。まずは人並みでいい。そのくらい軽い気持ちでかまいません。そしてそこから少しずつできることを伸ばしていく。

 問題はそれをどこまで、「その環境で」伸ばしていくかです。僕は感覚的に75点からせいぜい80点で打ち切ります。80点とは、その集団では上位20%に入るくらいです。

 打ち切ってどうするのか。次のレベルの環境へ移ります。地元のゲームセンターから、繁華街のゲームセンターに移る。スポーツなら従来のリーグから、ひとつ上のチームが集うリーグへ戦う場所を変える。

 従来の集団で上位であっても、新しい環境では平均以下の存在からやり直しになります。再びその新しい環境での平均レベルを目指す。この繰り返しになります。