スシローPhoto:Diamond

スシローを運営するあきんどスシローは4月12日、日本国内のスシロー全586店舗を大型連休明けの2日間、一斉休業すると発表しました。この一斉休業は3年連続です。この狙いをサービスマネジメントの「鏡面効果」の観点から解説します。(グロービス経営大学院 嶋田 毅)

スシローの一斉休業が
もたらす影響とは?

 回転ずしチェーンの中でも最近最も業績好調とされるスシローは、3年前から全国一斉休業を始めました(初年度は一部例外店舗あり)。5月11日(火)、12日(水)は、外食需要の高まるゴールデンウイークと母の日の直後で、比較的休業しやすい日ということもあり、今年はこの両日が選ばれました。他のライバルチェーンがなかなかこうした施策をとらないなか、なぜスシローはこのような一見売り上げダウンにつながりかねない施策を取るのでしょうか?

 もともとスシローはこの一斉休業について、「従業員に報いるため」とコメントしています。一見きれいごとのようにも映りますが、実はこれは、サービスマネジメント上は非常に理にかなっているのです。

 サービスマネジメントの重要な概念に鏡面効果(サティスファクション・ミラー)というものがあります。これは次のようなメカニズムによって生じます。

 従業員が提供するサービスによって顧客が満足し、従業員に(言語的、非言語的に)うれしさや感謝を伝えると、その従業員は自分の仕事に誇りと愛着を持つようになります。それによってモチベーションが高まり、さらに顧客のために良いサービスを提供しようと創意工夫するようになります。そして、より良いサービスを受けた顧客はさらに満足し、ロイヤルティーを高めてリピーターになり、それがさらに従業員の満足度を向上させていくのです。

鏡面効果
図1:鏡面効果 拡大画像表示