ワクチンメーカーの知的財産に対する一時的な脅威は、投資家にとって持続的な頭痛の種になるかもしれない。米国は5日、途上国が新型コロナウイルスワクチンを生産できるよう、知的財産権を一時放棄する案に支持を表明した。米製薬大手ファイザー、モデルナ、さらに複数のワクチン開発企業の株価はこれを受けて急落。6日午前も売りが続いた。特許放棄そのものを恐れるべき直接的な理由はない。世界貿易機関(WTO)加盟国が承認したとしても、製薬会社は既に各国政府と契約を結んでいるため、企業の短期的な収益に打撃が及ぶことはない。また、ワクチン供給を巡る世界的な見通しを大きく変えるものでもない。ファイザーとモデルナは今年、30億回分超を生産する予定で、競合の後発薬メーカーがその数値を大きく押し上げるほど急速に増産できるとは考えにくい。両社はそれぞれ来年の大幅増産を見込んでいる。