一部の投資家はドルのじり安傾向が続くことに賭けている。ヘッジファンドや資産運用会社は、ドルが徐々に下落するか狭いレンジ内にとどまれば利益が出るデリバティブを組んでいる。「ストラングル」と呼ばれるストラテジーでは、トレーダーは短期的に強気と弱気の双方のオプションを売る。原資産の通貨が安定していてオプションが発生しない限り、オプション契約を売ってプレミアムを獲得し、利益を得ることができる。緩やかな下落を見込む持ち高は、昨年の新型コロナウイルス感染拡大による荒い値動きからの転換を告げている。多くは2021年に世界の成長が米国の景気拡大を上回り、ドルが下落すると予想していた。ところが、米国の急速なワクチン普及と景気回復はドルを支えてボラティリティー(変動性)を抑え、トレーダーが相場の乱高下に乗じて稼ぐ機会も減った。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は年初来およそ1.4%高となっている。