世界的投資家のバフェットが
「インデックス投資」を勧める理由

 投資で成果を上げるには、アクティブ運用と、パッシブ運用のどちらが良いかというのはさまざまな意見があり、それについての論争もあるが、理屈でいえば、平均的には恐らくパッシブ運用の方が良い成果が出るだろう。

 パッシブ運用というのは市場に参加しているあらゆるアクティブ運用の投資家の平均と同じだし、投資信託の場合、アクティブ型の方がパッシブ型よりはコストが高いので、平均で取ればコスト分だけはパッシブの方が有利になるからだ。もちろん、市場平均を上回るアクティブ型投信も世の中にはある。それはパッシブ=全てのアクティブ運用の平均となるわけだからパッシブを上回るものがあるのは当然だ。

 面白いエピソードがある。ウォーレン・バフェット氏といえば、世界最高の投資家といわれている。その彼が会長兼CEOを務めている投資会社バークシャー・ハサウェイは、彼が経営権を握った1965年から2015年までの50年間で株価が約2万倍になっている。その間、米国の代表的な株価指数である「S&P500」は140倍にしかなっていないのでバフェット氏のアクティブ運用の圧勝である。

 そんな優れた投資手腕を持つ彼が2013年にバークシャー・ハサウェイの株主に宛てた手紙の中で、このように述べている。「プロではない投資家の目的はパフォーマンスの良い銘柄を選ぶことではないし、それを実際に行うことは本人もそのアドバイザーにも難しいだろう。むしろ大切なことは幅広く横断的に投資することだ。S&P500に連動する低コストのインデックスファンドに投資することによりこの目的は達成できるだろう」。さらに続けて彼は自分の妻への相続財産の運用として、運用の90%はS&P500インデックスを、そして残りの10%は米国短期国債を買うように指示したと述べている。

 これは言い換えれば、「自分のような優れた運用者は世の中にはそうたくさんいない。下手なアクティブ運用に委ねるよりも、インデックスで運用した方がよほどましだ」と言いたかったのだろう。

 確かにそれは正しいかもしれない。世の中の多くの一般投資家にとっては下手に個別判断で間違うよりは、インデックス投資をしておいた方がより良い成果を得られるだろうというのは事実である。