1時間以上激怒し続けた

 当日、物件に行くと、道に面した窓から内田さんは私たちが来るのを見ていたようです。木造アパートの外階段から2階に上がると、すでにドアを開けて仁王立ちで待ち構えていました。

 電話の感じからすると、サラッと終わるのかなと甘く考えていたのですが、いきなり内田さんは怒鳴り始めました。

「おまえがな、俺を滞納者呼ばわりしたから怒ったんだぞ。それをちゃんと分かってんのか!」

 まだ社会人2年生の担当者は、一生懸命に頭を下げているのですが、内田さんの怒りは収まりません。怒りだしたら、どんどんヒートアップしていく感じです。ここで私が口をはさんでしまうと余計に怒り出しそうなので、内田さんがひとしきり怒るのをただじっと聞いていました。

 なんとこの怒りは、1時間以上続きました。

 仲を取り持ってと言っていたのに。私は少し意外な展開に戸惑いました。きちんと謝って頭を下げたら、振り上げた拳も下ろしてくれると思っていたのです。ところがなかなかそんな雰囲気にはなりません。

 内田さんが言っていることは、正論ではありました。

 謝罪するときは言い訳しない、仲間の失敗は自分の失敗、謝罪するときは相手が許すまで頭を下げ続ける……。厳格な職人気質が、若い担当者が確認不足で起こした失敗を許せなかったようです。

 その気持ちは理解できるのですが、今の時代、そこまでガチガチに言ってもなぁ……聞いている私もしんどくなってしまいました。

 未だに現役で大工をしているという内田さん。現場でもこんな感じなら、若い人はついてくるのかなあ、ふとそんな風にも思ったほどでした。

 やっと話が途切れたタイミングで、私たちはお許しをいただき、解放してもらえました。トータル1時間半。ようやく長かった時間が終わりました。