新社長の船出をフレッシュな顔触れで
新体制発足「前日」を退職日に設定

 まず興味深いのが、このプログラムに応募した社員の退職日が「9月30日」に設けられていること。楠見新体制が本格始動する10月1日の前日である。滞留する人材の新陳代謝を急ぐことで、新社長の船出をフレッシュな顔触れで迎えたいという経営の強い意図が感じられる。

 このように期限が決まっているという事情もあり、プログラムの告知から実施に至るまでのプロセスは慌ただしい。社員が申請できる期間は7月26日から8月20日。早期退職を検討する社員は、残すところ3カ月でキャリアの分かれ道となる重い決断を下さなければならない。

 また、通常の退職金に上乗せされる「割増退職金の加算額」のレートでも、バブル入社のロートル社員が狙い撃ちされていることが分かる。

 今回パナソニックが導入する割増退職金は「キャリアデザイン支援金」と呼ばれるものだ。加算額は基本月収の何カ月分かという指標で算出されるのだが、一般的には、会社が辞めてほしい年齢ほど加算額が手厚くなる傾向にある。

 実際にパナソニックの管理職の加算額のレート(支給月数)を見てみると、「50歳=支給額50カ月」がピークに設定されている。続いて支給月数の多い順に、51歳の49カ月、52〜53歳の48カ月、54〜55歳の47カ月となっている。パナソニックの経営陣が「50〜55歳」を辞めてほしいメインターゲットとしているのは明白だ。

 労働問題に詳しい倉重公太朗弁護士によれば、「割増退職金の支給月数の相場では、24〜36カ月でも多いくらい。退職金制度を維持できなくなる企業が続出している中にあって、パナソニックは高い金額を提示している。会社側の本気度が感じられる」としている。

 これまでもパナソニックでは、カンパニーや事業部の裁量で早期退職プログラムに類似した制度を導入したことはあったが、今回のように全社規模で実施するのは珍しい。

 過去には、2002年3月期に巨額赤字を計上した当時、中村邦夫・元社長時代に1万人を超える規模の希望退職者を募ったことがある。

 創業103年の名門電機パナソニック。21年3月期決算では四半世紀ぶりに売上高7兆円を切り、縮小均衡に歯止めがかからない。業績が停滞する理由の一つには、変化対応力を削ぐ「人事の硬直性」が挙げられ、人材の新陳代謝を急ぐことでレガシー組織の活性化を促す構えだ。

 なお、「ダイヤモンド・オンライン」の特集『パナソニックの呪縛』ではパナソニックの早期退職プログラムの中身や社員の反応について、『パナソニック「割増退職金4000万円」の壮絶リストラ、年齢別加算金リスト判明【スクープ完全版】』で詳報している。

>>【スクープ完全版】『パナソニック「割増退職金4000万円」の壮絶リストラ、年齢別加算金リスト判明』はこちら