ワクチン騒動に株価の急落…えん戦気分の緊急事態宣言で本当に大切な二つのこと日本社会全体にワクチンが行き渡るのは、一体いつになるのでしょうか Photo:123RF

「ワクチン接種後進国」の日本
状況を好転させる二つの鍵とは?

 とある大企業の会長夫妻が、ワクチン接種の順番待ちの列に横入りしようとしたことで批判を浴びています。世間の怒りを浴びるのは仕方ないでしょう。なにしろ日本のワクチン接種率は世界129位、OECD加盟国では最下位というぐらい、ワクチンが不足しています。

 ちょうど今晩、地上波で映画『タイタニック』が放送されますが、タイタニックでも救命ボートの数が足りなかった。そんな中、タイタニック号の運営会社であるホワイト・スターライン社の社長がこっそり救命ボートに飛び乗って助かるシーンがあります。タイタニックでは、他にも女装して救命ボートに乗った男性など、順番を待たなかった乗客は少なくなかったそうです。

 有名なアメリカンジョークですが、こういった場合、イギリス紳士は「ジェントルマンはご婦人に譲るべきです」と言えば我慢するらしい。ドイツ人は「規則ですから」と言えば黙る。そして日本人は「他の人もそうしていますから」と言われれば我慢するそうです。

 今の東京は、まさにそのような状況です。「他の人も我慢していますから」と言われて、飲食店ではお酒を提供できず客はコンビニに流れ、新宿の百貨店では婦人服・紳士服売り場を閉めて客はビックロに流れています。

 国民不快指数のようなものがあったら、たぶん今が一番指数の高い時期でしょう。ワクチン接種の電話はつながらない、株価は下がる、病床率に余裕がある東京では「我慢の17日」が「我慢の37日」に延長される、通勤電車は混雑が増している。

いったい日本はどこに向かっているのか? 
これからどうなるのか? 

 まったく先が見えないと感じている人が増えています。

 ワクチンという資源が不足している以上、何もかもを満たすことはできないでしょう。こういうときに役立つのは戦略思考です。資源が不足する中で一番重要な目的を達成するにはどうすればいいのかを考えることが戦略です。ではこの状況を好転させる鍵はどこにあるのでしょうか?