また靖さんが死亡する5日前、山本容疑者が東京都内のアパートを短期で契約。診断書では、東京都内で死亡したことになっていた。靖さんは食べ物を咀嚼(そしゃく)して飲み込む機能が低下していたものの、容体は安定しており、主治医は「すぐ死につながるような体調ではなかった」と府警に証言している。

 淳子容疑者は、主治医から「胃ろう」を提案された際、山本容疑者に相談。靖さんは胃ろう装着に賛成していたが、山本容疑者が主治医に「なぜ、長生きさせようとするのか」と反対していた。また山本容疑者と淳子容疑者との間で「(靖さんが)周囲を不幸にする」というメールのやりとりがあったという。

「ゆがんだ関係」は
明らかになるか

 府警は3人についての認否を明らかにしていないが、淳子容疑者は逮捕前の聴取に「殺害計画を知っていた」と供述していたという。

 状況証拠としては「真っ黒」だが、当時は事件性がないと判断され、靖さんの検視や司法解剖は実施されていない。そのまま火葬されてしまったため、死亡した経緯は検証が不可能なのだ。

 しかし、先の嘱託殺人事件で大久保容疑者が単独ではなく、山本容疑者が共謀に加わった謎を解きほぐす鍵として立証は不可欠だろう。

 3人は容疑の段階で、まだ起訴すらされていないが、今後の捜査によっては大久保容疑者と山本容疑者の「ゆがんだ関係」が明らかにされるかもしれない。