集中できる人は「自分1人の時間」を予約するPhoto: Adobe Stock

集中力が落ちた。
あの頃は、もっと没頭できたのに──

私たちは今、スマホやPCに1日平均11時間を費やしていたり、リモートワークによる働き方の変化に追われていたりします。
「人のパフォーマンスを可視化するメガネ型デバイス JINS MEME」「世界で一番集中できる空間 Think Lab」などを手掛けてきた井上一鷹氏の著書『深い集中を取り戻せ』では、集中のプロとして、「これからどのように働けばいいのか」「どうやってパフォーマンスをあげるのか」を語ります。
脳科学的に、「やらされ仕事は4ヵ月しか続かないけれど、やりたいことは4年続く」と言われます。あなたが、夢中で何かに没頭できた体験。やらされ仕事ではなく、自らやってみようと思えたこと。何が原因かわからないけど、いつの間にか、『深い集中』が失われたすべての人へ、ノウハウをお伝えします。

「思考パターン」ごとに予約する

 私自身、コロナ前のスケジュールは、お昼前後から夕方にかけて会議に追われる生活でした。

 今は効率化することによって、1つずつの会議の時間は少なくなりましたが、数が増えたため、結局コロナ前とほぼ同じくらいの会議時間が発生しています。

 そのうえで、いつも主張しているのが、「みんな、会議は予約するのに1人仕事は予約しない」という問題です。

 そこで、1人で作業するときの「直感が必要な時間」「論理が必要な時間」「単純作業の時間」の3つを、先にスケジュールに組み込むようにしました。

 直感、論理、作業の3つの時間を1週間のルーティンに組み込みます。

 よほど大変なことが起こらない限り、このルーティンを守っています。

 この3つを分けることは、極めて強い意味を持ちます。

 なぜなら、「集中する自分」を予約するところから、集中は始まるからです

 10年後のことや1年後、あるいは1ヵ月単位で考えるのは難しいので、まずは1週間の自分の時間の配分を考えてみてください。

「どうせ後でやること」は追い込む

「重要度と緊急度の2つの軸」によって考えを整理することも有効です。

 重要度と緊急度でタスクを整理して、できれば、「重要だけれど緊急性の低いもの」の時間を確保することが大事です。

 おそらく、みなさんは「重要かつ緊急なもの」のタスクが最重要だと思うでしょう。

 このタスクは、実は周囲からの要請や〆切によって、緊急性が高く設定されていて、上司やチーム内でも「今週、もっとも大事な仕事だ」と共有されているかもしれません。

 これらは、考えるフェーズはほとんど終了し、「あとは、それをどのように実現していくか」という実行するための思考をすることが増えていることでしょう。

 つまり、やる気にかかわらず、「どうせやる」のです

 そのため、タスクをきちんと進めていくための論理的な思考の時間を持つことは大事ですが、この領域のタスクそのものは最重要ではありません。

 自分にとって重要だと思っているけど、急ぎではないタスク。それこそが、あなた自らの「集中」を発揮する必要があるのです。

「重要じゃないこと」はいったん忘れる

 次に、「重要ではないけれど緊急なもの」です。

 要するに、単純作業で終わるようなタスクです。

 これは、「作業」の時間として、好きな音楽を聴きながら、気張らずに進められる仕事として設定しています。

 この時間は、つい後回しにしてしまうことが多く、そのため残業やダラダラ仕事になってしまいがちなので、先に時間を予約しておくと、精神衛生上、とても楽になります

 このことの重要性は、「ツァイガルニク効果」という現象で説明できます。

 心理学者のブルーマ・ツァイガルニクは、「目標が達成されない行為に関する未完了課題についての記憶は、完了課題についての記憶に比べて想起されやすい」という事実を実験的に示しました。

 つまり、目の前でやっているものとは異なる課題を思いついてしまったとき、その課題は、未完了な状態なので思い出しやすく、結果、目の前の課題への集中の邪魔になるということです。

 そうなると、いろいろなタスクが想起される度に、

「ああ、また終わっていないタスクを思い出した。ToDoリストを見るのも億劫だ……」

 と、どんどんつらい気持ちになってしまいます。

 この集中の妨げを回避するためには、タスクが溜まっていても、「後でちゃんと作業の時間を確保しているから」と思える状態にしておくと支えになります。

 また、自分にとって重要ではないのに相手から急がされている仕事も、この作業の時間に回してしまうようにしましょう。