集中力を高める「いい睡眠」の条件Photo: Adobe Stock

集中力が落ちた。
あの頃は、もっと没頭できたのに──

私たちは今、スマホやPCに1日平均11時間を費やしていたり、リモートワークによる働き方の変化に追われていたりします。
「人のパフォーマンスを可視化するメガネ型デバイス JINS MEME」「世界で一番集中できる空間 Think Lab」などを手掛けてきた井上一鷹氏の著書『深い集中を取り戻せ』では、集中のプロとして、「これからどのように働けばいいのか」「どうやってパフォーマンスをあげるのか」を語ります。
脳科学的に、「やらされ仕事は4ヵ月しか続かないけれど、やりたいことは4年続く」と言われます。あなたが、夢中で何かに没頭できた体験。やらされ仕事ではなく、自らやってみようと思えたこと。何が原因かわからないけど、いつの間にか、『深い集中』が失われたすべての人へ、ノウハウをお伝えします。

「寝る前スマホ」をやめて「朝日」を浴びる

 集中の向上には睡眠が非常に重要です。ですが、日本人の平均睡眠時間は、世界と比べて少ないという研究報告があります。

 また、骨格の影響により、日本人男性は「睡眠時無呼吸症候群」になりやすいと言われています。

 睡眠不足により特に影響を受けるのが、「海馬」と言われる脳の一部分です。

 海馬には、インプットした情報を一時的に保存しておく機能があり、この機能が衰えると短期記憶が弱くなります。

 その結果、同時並行でおこなっているタスクが管理できなくなったり、集中が阻害されたりしてしまいます。

 いい睡眠は、いい集中に必須の条件なのです。

 では、どうしたらいい睡眠が得られるのでしょうか。

 ここでは、「入眠と眠りの深さ」と「目覚めのよさ」について述べましょう。

 まずは、入眠と眠りの深さについてです。

 レム睡眠とノンレム睡眠ですが、それぞれ、「体を休める(レム睡眠)」「脳を休める(ノンレム睡眠)」という役割があります。

 その2つは90分周期で交替します。

 それぞれ役割が異なるため、レム睡眠とノンレム睡眠のスムーズな繰り返しが重要となってきます。

 いい入眠のためには、寝る前に脳に刺激を与えず、リラックスした状態で眠りに入ることがよいです。

 よって、寝る前にはスマホの画面を見るのを避けてください

 スマホから発せられるブルーライトにより、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制されてしまいます。

 つい、寝る直前までスマホを見てしまうという人が多いでしょうが、一度、やめてみてください。きっといい睡眠が実感できると思います。

 次に、目覚めのよさについてです。

 目覚めをよくするためには、「朝日を浴びること」が重要です。

 朝日を浴びると、気分の安定をもたらす「セロトニン」が分泌され、自然な起床が促されます。脳の活性化にもつながります。

 どちらもシンプルな方法ですが、そういうノウハウこそ、バカにできません。

 単純なことなのに、睡眠の良し悪しが「仕事の良し悪し」に直結します。

 これを機に、ぜひ取り入れてみてください。

井上一鷹(いのうえ・かずたか)
株式会社ジンズ執行役員 事業戦略本部エグゼクティブディレクター 兼 株式会社Think Lab取締役
NewsPicksプロピッカー(キャリア)
大学卒業後、戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルにて大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事後、ジンズに入社。商品企画部、JINS MEME事業部、Think Labプロジェクト兼任。算数オリンピックではアジア4位になったこともある。
著書『深い集中を取り戻せ』(ダイヤモンド社)が好評発売中。