ある日突然、異動や転職などでリーダーを任された。
配属先は慣れ親しんだ場所ではなく、
すでに人間関係や風土、文化ができ上がっている
“アウェー”のコミュニティ(会社組織)。
右も左も分からない中、
「外から来た“よそ者”」の立場で、
いきなりリーダーを任されるケースも
少なくありません。
また、多数のエンジニアを率いる非エンジニアの
リーダーなど、自分の専門外の領域でチームを
まとめなければならない
「門外漢のリーダー」も増えています。
今の時代、「よそ者リーダー」がリーダーの
大半であるといっても過言ではありません。
そこで、新規事業立上げ、企業再生、事業承継の
中継ぎetc.10社の経営に関わった
『「よそ者リーダー」の教科書』の著者・吉野哲氏が
「よそ者」こそ身につけたい
マネジメントや組織運営のコツについて伝授します。
今回は、新任リーダーが気をつけたい
従業員の「第一印象」についてお伝えします。
(構成/柳沢敬法、ダイヤモンド社・和田史子)
「第一印象」がその人の
本来の姿とは限らない
着任先の従業員の資質や能力、人間性などは、事前情報に頼らず直接本人と会って見極めるべき――
これは、私の考える“よそ者社長”の心得のひとつです。
しかし、だからといって「直接会えばすぐにわかる」というものでもありません。
特に初対面での第一印象には要注意です。
例えば、生産部門で叩き上げてきた職人気質のベテランなど、不器用で口下手、いつも不愛想でつっけんどんな態度の人。本来は無口で物静かなタイプなのに、営業職が長いために社交的で如才ない言動が身についてしまっている人など――。
ある程度付き合わなければ、その人の本来の姿が見えてこないこともあります。むしろ、そのケースのほうが多いでしょう。
第一印象とは、相手の見た目や姿勢、口調や声などから感じ取るだけの、表面的で一方的な情報によって決まるもの。相互のコミュニケーションにまで至らない状況下でのイメージでしかありません。
つまり、最初に会ったときの印象イコール、その人の本当の姿とは限らないということです。
最初の数秒で決まってしまう第一印象は、想像以上に強固で変わりにくく、いつまでも“尾を引く”もの。そのため、初対面での評価にこだわりすぎてその人の資質を見誤ったという失敗例も少なくありません。
それゆえ、“よそ者社長”が新天地で新たな従業員と向き合う際には、「初対面での個々の第一印象を引きずらない」というスタンスが大事になります。