ある日突然、異動や転職などでリーダーを任された。
配属先は慣れ親しんだ場所ではなく、
すでに人間関係や風土、文化ができ上がっている
“アウェー”のコミュニティ(会社組織)。
右も左も分からない中、
「外から来た“よそ者”」の立場で、
いきなりリーダーを任されるケースも
少なくありません。
また、多数のエンジニアを率いる非エンジニアの
リーダーなど、自分の専門外の領域でチームを
まとめなければならない
「門外漢のリーダー」も増えています。
今の時代、「よそ者リーダー」がリーダーの
大半であるといっても過言ではありません。
そこで、新規事業立上げ、企業再生、事業承継の
中継ぎetc.10社の経営に関わった
『「よそ者リーダー」の教科書』の著者・吉野哲氏が
「よそ者」こそ身につけたい
マネジメントや組織運営のコツについて伝授します。
今回は、よそ者リーダーが着任後すぐに行うべき
「従業員との面談」についてお伝えします。
(構成/柳沢敬法、ダイヤモンド社・和田史子)
早い時期に、極力
「従業員全員」と面談する
外部から来た“よそ者社長”にとって、着任後に行う「極力すべての従業員との1対1での面談」は絶対にスルーできない必要不可欠なプロセス。――これが私の持論です。
事前情報や第一印象による先入観を排除し、従業員の資質を自分の目で見極めることはもちろん、専門外の業種の会社を任された“素人社長”にとっては、知らなかった業界の考え方や価値観を、“先輩”である従業員から学ぶ絶好の機会にもなります。
全員となんて無理──と腰が引けるかもしれません。しかし従業員が100人前後までなら全員と、それ以上の規模の場合でもキーパーソンを中心に同じく100人程度と、なるべく早い時期に“サシで”話す機会を持つことは、社長の必須業務と考えましょう。
それ相応の時間がかかるのは仕方ありません。
着任後半年以内にひと通りの面談を済ませるのが理想ですが、会社規模によって「30日でできる」「100日は必要」「ウチはそれ以上かかる」といった差はあるでしょう。
また、支社や事業所などの地方拠点まで含めれば、さらに時間が必要になるのもやむをえません。
しかし、ある程度の期間を要することになっても可能な限り全員と面談することを目指していただきたい。それほど、この面談には費やす時間に代えられない大きなメリットがあるのです。