好まれる「勝敗」という二項対立
ビジネスでは最適解を見失う恐れも
新型コロナウィルスの感染第4波が広がる中、東京オリンピック・パラリンピックを開催するべきか否かという「二項対立」の議論がわき上がっている。人々は、対立という明確な構図を好む。対立は勝敗を生み、勝敗を決するまでのストーリーによって、人々は心を動かされる。
勝敗はスポーツだけでなく、アイドルの総選挙、アニメやドラマの世界においても多く存在し、人々が勝敗という構図をいかに求めているかがわかる。しかしながら、ビジネスの現場では、二項対立の思考は最適解を見失うトラップとなりやすい。
経営判断は、新型コロナの影響によってより難しいものになった。時間・情報が限られる中、正解を導き出すことは難しく、企業内でも意見が分かれ、対立を招いていることも多い。
議論のための健全な意見対立は本来望ましいものの、社内政治に終始し、結果として不必要な対立を招いてしまうことも少なくない。議論すべき論点を見誤っていることや、声の大きさや多数決によって経営判断が成されることも少なくはない。最悪の場合、間違った経営判断が企業経営の根幹を左右する問題にも成り得る。