38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』がダイヤモンド社から発売。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしてきました。今回からは、特別編として書下ろしの記事を掲載します。登場人物は、これまでと同じく林教授と川村カノンの2人。注目企業の決算書はどうなっているのか? 注目企業の会計のカラクリなどについて解き明かしていきます。しばしお付き合いください。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ!
先生、SBGが特殊な会社って、どういうことですか?
カノン 先生、ソフトバンクグループ(SBG)の2020年度の当期純利益が4兆9880億円だそうですね。2019年度がマイナス9600億円ですから、かなり振れ幅が大きいですね。それにしてもアップルに迫る利益額はすごいです。
林教授 アップルの2020年通年売上高は30兆円、純利益6.3兆円だ(売上高2745.15億ドル、純利574.11億ドル、1ドル110円)。まあ利益だけを見るとそう言えるかも知れないね。
カノン 先生、その奥歯にモノが挟まったような言い方はなんですか。私、気になるんですけど。
林教授 確かにSBGはすごい会社だ。だが、アップルと比較するのは間違いだよ。アップルだけじゃない。おそらく他のあらゆる会社と比較するのも間違いだね。
カノン どういうことか、よくわかりませんが。
林教授 この表を見てくれないか。SBGのプレゼン資料だ。何か違和感はないかね?
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カノン あれ、売上高と税引前利益が5.6兆円でほぼ同額ですね。それと当期純利益の下に(親会社所有者帰属分)と書かれています。あと、その下の(参考)のところの投資損益合計7兆5290億円という数字も気になります。
林教授 さすがボクの弟子だ。そこなんだよ。多くの人はSBGが特殊な会社だとは知らないし、当期純利益=お金だと思っている。
カノン 利益って、一定期間の売上と費用の差額で、会社が作り出した価値の大きさだって『会計の教室』で教わりましたが…。