21年3月期の「割増退職金」は18億円
55歳以上は最大36カ月分を上乗せ

 この内部資料では、プログラムの目的について、コロナ禍によって「組織によっては業務量が減少もしくはなくなる事態となり、社内でのキャリアの『自己実現』の可能性が以前よりも難しい状況になっている」と説明。その上で、「オリエンタルランドで培った能力を活かすためのキャリア支援の強化を主旨とし、期間を限定して、本プログラムの対象者および支援金の拡充を行う」と記している。

「今回のキャリア支援制度の拡充は、早期退職の募集だし、多くの社員もそう捉えていた」とオリエンタルランドの関係者は苦笑いする。

 なお、オリエンタルランドは取材に対し、「従来から会社にある仕組みで、コスト削減のための早期退職施策ではない」と説明した。

 大規模な早期退職の実施は、オリエンタルランドの決算資料からも裏付けることができる。21年3月期第3四半期決算から、損益計算書の営業外費用に「割増退職金」という項目が加わったのだ。

 21年3月期に割増退職金として計上された額は18億1300万円で、前年同期の3700万円から49倍もの増加だ。

 内部資料には割増退職金の年齢別加算金の一覧が記載されている。それによれば、55歳以上が“ターゲット”になっていることが分かる。

 内部資料によれば、今回のプログラムに応募すると「ネクストキャリア支援金」という名の退職支援金が支給される。この理由について、「社外への転進に対して、会社が対象者を支援するための資金」としており、従業員の自律的なキャリア形成を支援するための制度で、リストラではないことを強調している。

 今回の割増退職金は、退職希望日時点の月給に0.8を掛けた額に、年齢に応じて定められた月数を乗じた金額になっている。

 一般的に、会社側が辞めてほしい年齢は、割増退職金が他の年齢よりも手厚くなる傾向がある。

 今回のケースでは、正社員では55歳~62歳が36カ月と最も多く、以降、年齢が1歳下がるごとに2カ月分が下がっていき、45歳では16カ月となる。

 割増退職金の一般的な相場と比較すると、36カ月は多い部類に属し、社員にとって悪い話ではなさそうだ。20年冬のボーナス7割減などにより社員のモチベーションは下がっており、定年が迫る55歳以上の社員にとって、魅力的な早期退職プログラムになっていた。

 なお、早期退職プログラムの詳細や、夏のボーナスを巡る労使交渉について、『ディズニーリゾートもついにリストラ…オリエンタルランドで早期退職募集【スクープ完全版】』で詳報している。

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