一方、経済全体の懸念材料としては、やはり諸外国との格差である。

 諸外国では、ワクチン接種が順調に進んでいることから、ワクチン接種を事実上の経済活動許可証とする、いわゆるワクチンパスポートの導入が進んでいる。米国(連邦政府)のように人権上の問題から制度としては導入しないところもあるが、実質的にワクチン接種が海外渡航やイベント参加の許可証として機能する可能性は高い。

 日本人が現在のペースでしかワクチンを接種できない場合、先進諸外国の中で日本人だけが自由に行動できない期間が長く続くことになる。困ったことに、コロナ危機の発生は全世界的に改革を加速させる作用をもたらしており、各国の経済界はビジネスのデジタル化に邁進している状況だ。

 このままでは、10~15年程度の時間がかかると思われていた変化が5年程度に短縮される可能性があり、この重要な時期に日本だけが半年から1年程度、身動きが取れないことになる。

急がば回れの方策しか
残された道はない

 非常に言いづらいことだが、ワクチン接種が進まない限り、目先の消費について抜本的に回復させることは難しく、飲食店を中心とした各事業者(特にそこで働く従業員)に対しては、政府が手厚い支援を行うしか方法はない。

 一方で、今のタイミングが、今後10~20年の経済を決める重要な時期であるという現実について、政府のみならず国民も認識を共有する必要があるだろう。企業のデジタル化投資を前倒しで進め、諸外国との差を可能な限り縮める努力が求められる。

 即効性がないように思えるかもしれないが、テレワークに移行できない中小企業などを対象にIT化支援を行うなど、デジタルシフトを促進する施策を大規模に実施した方がよい。また、雇用が不安定になっていることを逆手に取り、ビジネスパーソンのスキルアップ(職業訓練)について政府が全面支援してもよいだろう。

 大きな打撃を受ける飲食店への直接支援と、社会のデジタル化を加速させる大規模な人的投資を同時並行で実施することこそが、ワクチン接種で遅れている日本が選択し得る、唯一の方策だと筆者は考えている。