写真:終電Photo:PIXTA

無観客で実施するのかどうかなど、いまだ開催のあり方が決まらない東京オリンピック。その影響は鉄道業界にも強く及んでいる。終電時間の延長などの結論が出ない中、開幕直前に無理な対応を迫られれば、事故やトラブルにつながる恐れもある。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

東京オリンピック開催のあり方が
全く決まらない異常事態

 東京オリンピックの開幕までまもなく1カ月となる。新規陽性者数は減少傾向にあるが依然として東京、大阪など10都道府県に緊急事態宣言が発出される中、6月5・6日にJNNが行った世論調査では、44%の人が「開催すべき」と答えた一方、「中止すべき」「延期すべき」は合計で55%に達した。

「開催すべき」とした人の中でも半数以上は「無観客で開催すべき」と答えており、コロナ下でのオリンピック開催に不安の声が高まっている。

 しかし菅義偉首相は観客を入れることに強いこだわりを見せているようで、5月28日の記者会見でも「宣言下でも、野球やサッカーは一定の水準で感染拡大防止をしっかりした上で行っている。そうしたことを参考にしながら、対応はできると思っている」と述べている。

 無観客で実施するのか、観客を入れるのか。受け入れるのであれば定員の5割を上限とするのか、ひとつの会場で5000人を上限とするのか。これらの結論は当初、4月中に出る予定だったが、感染の急拡大を受けて判断は先送りとなり、最終的な結論は6月まで持ち越すことになった。