最強のインフレ対策としての物価連動国債

 物価連動国債は、額面が1000万円なので、庶民の通常の資産運用には適さないが、富裕層にはお勧めであるし、庶民も「退職後も当面は働いて生活費を稼ぐので、退職金に手をつけずに済みそうだ」という時にはぜひとも選択肢として検討したい商品である。

 商品設計は単純で、「1000万円出すと国債が入手でき、10年後に1000万円が戻ってくるのだが、10年後に消費者物価指数が上がっていれば、その分だけ多く戻ってくる」というものである。

 つまり、物価が上がらなければ1000万円戻ってくるし、物価が2倍になっていれば2000万円戻ってくるという究極のインフレ対策商品なのである。

 逆に、消費者物価指数が下がっても1000万円は戻ってくるので、デフレを気にする必要はないのである。

 問題は、額面で買うことが難しいということだ。購入するには証券会社で既発債を買う必要があるので、流通価格で買う必要がある。価格は変動するが、たとえば1050万円といった買値になる。

 これだと、10年間持っていると10万円くらい金利がもらえるが、1000万円戻って来たとして、損失が最大40万円程度は発生する可能性があるわけだ。

 なぜ1050万円出さないと買えないのか、事情は複雑なので、本稿では解説は控えるが、ここは「保険料だ」と割り切ろう。物価が2倍になれば投資額が2倍になって返ってくるから財産が目減りしないという「保険」に加入するための保険料だ、と考えれば、安いものだろう。1000万円の投資が可能な人は、ぜひ選択肢として検討してみるといいだろう。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係がない。