東京都知事選で当選確実となり、花束を贈られる小池百合子氏(左)=5日午後、東京都新宿区昨年の東京都知事選で、小池百合子知事(左)の再選を祝う都民ファーストの会代表の荒木千陽都議 Photo:JIJI

東京都政の改革を掲げたにもかかわらず、小池百合子東京都知事を守ることが最大の目標になってしまった――。小池知事が「娘」のように寵愛する都議会議員が牛耳る都議会最大会派を離党した都議が、「都民ファーストの会」の内部事情を明らかにします。(東京都議会議員 栗下善行)

五輪「あらゆる選択肢」と言いつつ「反対」に反対
“パフォーマンスファースト”に今さら驚かない

「再度の延期を含むあらゆる選択肢を視野に入れるべきだ」――。5月28日、東京都議会の最大会派である「都民ファーストの会」は、東京オリンピック・パラリンピックについて、こう提言する幹事長談話を発表した。

 だが「あらゆる選択肢」を提言しながら、翌週から開会された都議会第2回定例会での彼らの対応は、実にちぐはぐなものだった。市民から出された、五輪中止を求める陳情に反対。文教委員会で協議された「延期もしくは中止」を求める意見書に対しても賛同しなかった。

 五輪開催に慎重な立場をとっている立憲民主党、共産党を巻き込めば、都議会全体での意見書決議を可決でき、スケジュールありきの五輪開催強行に、首都東京として強力な問題提起ができたにもかかわらず、具体的な行動には出なかったのである。

 都民ファ「特別顧問」の地位にあり、創設者として実質的に党を率いる小池百合子知事は、五輪の再延期は難しいと述べ、推進の立場を崩していない。一方で、各種世論調査では中止や再延期を求める声が多く、大手を振って開催を唱えては、自分たちのクビがかかった7月4日投開票の都議選に影響する……。

 結果よりも「見え方」を重視する都民ファらしいやり方だなと、今年2月に離党した私は、もはや驚くこともない。内部で3年半以上、内情をつぶさに見て来た私からすると、この4年間の彼らの政策は、都民よりも“パフォーマンスファースト”だったと断じざるを得ない。