飲み会禁止で荒木都議から「お叱り」の電話
「情報公開」が公約、お金の使い方は秘密主義

 17年の改選直後は、議会幹部が使う公用車の廃止などが行われたものの、都民ファが推進する議会基本条例の制定や、通年議会をはじめとする議会のトランスフォーメーションを目指す改革はその後、微動だにしなかった。

 実は、改選直後はこうした政策や議会運営のあり方に対して、若手議員から数々の意見が活発に出されていた。しかし、小池知事の元秘書の荒木千陽都議が都民ファ代表になってからは特に、情報統制や分断が進められ、次第に声を上げるメンバーは減っていった。

 改選当初、メディアを騒がせ都民を驚かせたのが「飲み会禁止令」だ。私は当選2期目であったが、成り行きで新人議員の集まる会に合流することとなり、それを聞きつけた荒木都議(当時は代表ではなかった)から直接電話がかかってきたのをはっきり覚えている。

 私を含めた都民ファ執行部の議員は、新人議員と飲み会で交流することはまかりならぬ、と叱責されたのだ。それ以降も、都民ファ内で派閥やグループの形成が行われないよう、運営の中でさまざまな工夫が凝らされていた。

 内部の情報統制も、都民ファが抱える深刻な問題の一つだ。小池知事は、自身が「のり弁」と表した黒塗りの情報公開資料に象徴される密室政治をブラックボックス政治と批判し、都民ファも共に「情報公開」を掲げてきた。

 だが、党と会派の運営については他党と比較しても意思決定プロセスが不明確で、秘密主義が横行していた。特に、会派や党が所属都議から集めたお金を、何にどれだけ使ったのかについては、改選直後から数え切れないほど所属議員から明らかにするように指摘があったが、少なくとも私が離党するまでは、十分に明らかにされることはなかった。

 政策を推進するためのプロセスも、会派内での情報共有は執行部に所属する都議のごく一部に限られ、議会での最終決定当日に初めて方針を知るということが常態化していた。

 例えば、昨年に都ファが提案して物議を醸した、新型コロナウイルスに感染し隔離されている人が無断で外出した場合に過料を科すとした条例案も、ごく一部の幹部によって強力に推進され、多くの所属議員は我が事として受け止めていなかった。

 当時の所属議員のSNSによる発信の少なさも、それを反映している。そして、私をはじめ、大方の議員が当初から予測していた通り、他の有力会派からの強力な反対によって提出を断念するに至った。